ブリーチ(夢)

□カホ17
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私はヒーローに憧れている。

「夏帆、これも一緒に提出しといてくれ」
「はーい」

私が所属してる六番隊の阿散井副隊長に書類を束で渡されて、それを受け取る。

「頼むな」
「任せてください!」

憧れているのはこの人じゃない。

預かった書類を他隊に提出する前に隊長に持って行かなきゃいけなかった書類があった事を思い出して、自分の机に戻りその書類だけを思って隊長がいる執務室に入る。

いつもすごく緊張する。

「失礼します」
「入れ」

扉を開けて中に入れば、ものすごい姿勢正しく座って机に向かっている朽木隊長がいた。

「書類を提出に参りました」
「そこに置いていけ」

「はい!」

書類を置いて一礼してから扉を閉めた。
口から息が抜けるように出ていったのはしょうがないだろう。
隊長といるとすごく緊張するんだから。

でも、私が憧れているのは朽木隊長でもない。

緊張はするけど、それだけだ。
あの独特のドキドキとかしないもん。


私は書類の束を持って六番隊を後にした。

お隣りの五番隊に行って書類を提出、そしてさらに歩いて四番隊へ。

「花太郎ー!」
「!」

ビクッと肩を震わせてから近くの壁に隠れた。

「華奈さん」
「今日の昼暇か?」

「はい、ここの掃除が終わったらお昼休みです」
「じゃぁ一緒に飯食いにいこうぜ!」

物陰からこっそり覗けば、箒を持ってる山田先輩と華奈先輩がいた。

私の胸はドキドキと高鳴っていく。

(山田先輩と華奈先輩今日も可愛いー!)

山田先輩はいつもいろんな人から仕事を押し付けられたりしてるから、多分今日もそうなんだろう。

だって、こんな端っこの掃除を七席がするなんておかしいもん。

「じゃぁとっとと終わらせちゃおうぜ!」
「あ、ありがとうございます!!」

華奈先輩も箒を持って掃除を手伝いだす。

二人は本当に仲がいい。
学院生だった時から何も変わってないんだなって改めて思った。
二人で仲良く話して、笑い合ってる。
いいなーって思いながら見てると、山田先輩の後ろの方からこちらにやって来る人影が見える。

「花太郎くーん、華奈ー!」
「おー、楓!」

手を振ってそれに答える華奈先輩と、笑顔でむかえる山田先輩。

その笑顔にまたキュンときた。

「ちょうど良かった、お昼ご飯一緒にどうかと思って」
「奇遇だな!私もそれで花太郎のこと誘いに来てたんだよ!」

「そうだったんだ、よかった」

昼食を一緒に取るメンバーが増えて、掃除をする手も増えた。

「な、なんだか申し訳ないですっ」
「気にすんなって!」

「私たちが勝手にやってるんだから」
「は、はい」

照れているかのように頭をかく花太郎に、二人は笑っていた。

(照れてる山田先輩可愛いー!!)

声には出さず脳内で悶えている夏帆。誰にも見られていなくて本当によかったと思うべき姿だ。

「あれ?」

そんな声が聞こえてきてまた顔を覗かせれば、

「みんなー、ここにいたんだ!」
「花音だ」

「どうしたんだ?」
「みんなとお昼ご飯食べようと思って」

また一人増えていた。

「小椿三席は?」
「い、いつも一緒に食べてる訳じゃないよ!」

「そうなのか?」
「、楓ちゃんだってここにいるでしょ!」

「だって、今研究室に篭ってるから」
「そ、そうだった」

頬を赤らめながらそんな言い合いをして、四人で掃除を開始した。

この四人は、本当に変わらないんだなぁって思う。

学院にいた時からこんな風に一緒にいて、山田先輩が仕事を押し付けられたら一緒に片付けてたし、山田先輩だけじゃなくて、四人の誰かに何かあったら一緒にそれに立ち向かってた。

私にはそんな風に見えてた。

「・・・」

先輩たち、楽しそう。

胸がギュッてなる。私って乙女だなーって苦笑しながらそこを離れた。
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