ブリーチ(夢)
□カエデ12
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「ん」
「やっと起きたか」
「お兄ちゃん」
見ると、風呂に入ったのか化粧を落とした姿のマユリがいた。
「あれ、京楽隊長は?」
「いつの話しをしているんだネ」
「?」
着流し姿のまま覆いかぶさってきて、深く口づけをしていく。
「とっくに帰ったヨ」
「ん、っふ」
「まったく、邪魔な奴だ」
深く舌を侵入させて絡め、吸い出す。
「今度は、止めるつもりは無いヨ」
そう囁いて、裾の間から手を入れていく。
「まっ、ん!」
舌で舐め、指で探る。
すぐにそこにたどり着き、割れ目を撫でた。ビクッと体を震えさせて強張らせていく。
「力を抜きたまえヨ」
「だ、だって」
ツプリと指を一本無理やり捩込み、苦痛に歪んだ楓にキスをした。
「私が、怖いかネ?」
その質問に、閉じていた目を開けて見上げてくる。そして、
「ううん」
小さく笑って首を横に振った。
『なんだネ、どこから入って来た』
『あ、あっちに、家が、』
指をさす方には貴族達が住んでいる場所がある。
どこぞの貴族の子供が遊び気分でここに入って来たのだろうとため息をついて、書き込んでいたノートに目を向ける。
『な、何、してるん、ですか?』
『お前には到底理解出来ないことだヨ』
少しずつこちらに近づいてきて、目の前にしゃがんでくる。
さっき猿柿に薬品を引っ掛けられたので風呂に入り、いつもの化粧をしていない。
この姿をあまり人に見られたいとは思わなかったのだが、
『難しそうな、本』
『・・・はぁ』
なんだってこんなガキに見つかったのか。子供は嫌いだ。
意味が分からない。
阿近くらい頭が良く物分かりがいいのであれば話しは別だが。
『こ、これ、なんて書いてあるんですか?』
目をキラキラと輝かせながらこちらを見上げてくるこのガキからは、それほど知性が感じられない。
めんどくさそうに質問に答えれば、さらに目の輝きを増してページをめくっていく。
そんなことが、いつの間にか続いていた。
『明日から、もうここに来ても私は来ないヨ』
『?』
見上げてくる目から逃れるように顔を背けて、口を開いた。
『私は忙しいんだ。明日から、もっと忙しくなる』
浦原がいなくなった。猿柿もいなくなった。いなくなった穴は、大きい。
袖を引かれ、下を見れば目が合った。
『お兄ちゃんは、死神、なんだよね?』
『・・・だから、なんだと言うんだネ』
素っ気なく返すが、握られている袖は振り払わなかった。
『じゃぁ、私も死神になったら、お兄ちゃんともっといられる?』
ガキは嫌いだ。すべてを感情で考える。
そして、時としてそれを行動に移す。
『お前が死神か』
『うん、なったら、また一緒にご本読んでくれる?』
その台詞に、笑ってしまった。
『いったい、何十年かかるんだろうネ、それは』
そう言って頭を撫でたのを覚えている。
それが最後だった。
「お、お兄ちゃん」
あの時のガキが、今自分の指で解かれ、喘いでいる。あの時のように見上げて、呼んでくる。
「何度も言わせるんじゃ無いヨ」
「ふ、ん」
「お前の兄になるつもりなんぞ、無いんだよ」
あの時から、一度だって。