ブリーチ(夢)

□カナ4
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楓の家で飲みはじめて数時間。

「そういえば、花音ってまだ小椿三席のこと好きなのか?」

華奈の一言に、お茶を口に含んでいた花音はブフーッと盛大に吹き出した。

「な、なっ、なんっ!」

面白いくらい焦りながらボタボタと口から流れているお茶を拭く。

「いやほら、虎徹三席のこと気にしてたじゃん?」
「あぁ、仲いいですよね、あのお二人」

「同じ隊の三席同士だしね」

そんな事を話している三人を余所に、花音はまだ慌てながら視線を泳がせていた。

「て、っていうか!何で私が小、小椿っ、三席のこっ、こと」
「「「見てれば分かるから(ます)(よ)」」」

声を揃えて言われ、カカカァ〜と顔を赤くしてそれを手で覆う。うっと詰まってキョドキョドと目を動かし、最終的には手に持っている湯呑みをいじりながら小さな声で呟いた。

「・・・好き」

言ってから恥ずかしくなったのか、泣きそうなほど顔を赤くして目を潤ませた。

「何も泣くこと無いだろ」
「だ、だって!口に出したの初めてなんだもん!!」

今までだってこれからだって、ひっそり見つめていられればよかったのに、何でばれてるのと暴れる花音に、まぁ飲めよと華奈が酒を勧める。

花音も、花太郎同様酒に弱い。猪口一杯で気持ち良くなれてしまう程だ。
酒が回ってきて少し気が大きくなってきた花音は、恥ずかしさも相まって勢いよく顔を上げた。

「、楓ちゃんだって!好きな人いるくせにっ」

そっちはどうなの!?と座ってきた目で睨まれ、楓が少し目を下にむける。

「まだ、見つからない」
「名前がわかんないってデカイよなぁ」

「うん」
「大丈夫ですよ!必ず見つかりますよ!」

「そうだよ、十三番隊に入隊してることは確かなんだし」

うんと頷いて猪口の中身を飲み干す。励まされて嬉しかったのもあるし、結構恥ずかしかったらしい。

「華奈は?」
「ん?」

「好きな人、いるでしょ?」

楓にそう言われ、う〜んと顎に手をあてて考える。

「・・・わかんないんだよなぁ」

首を傾げる花音に、花太郎が苦笑しながら口を開いた。

「伊江村三席の事ですよ」
「四番隊の?!」

「以外!!」

真面目な人だと驚く二人に、華奈は首を傾げ続けている。

「いや、でもわかんないんだよなぁ」
「?」

「なにが?」
「好きってのが」

キョトンとして華奈を見れば、とても真面目な顔をして腕を組んでいた。

「最近妙によく見るんだよ。ふってした時に思い浮かぶっていうか、気になるってのは分かるんだけど、」

"好き"がわからない。言えば、華奈以外の三人が顔を見合わせてクスリと笑った。

「大丈夫だよ」
「ん?」

「そのうちちゃんと分かるから」

好きという気持ちを分かっている三人に言われれば、そういうもんなのかと頷いて笑顔を浮かべた。

「そういや、花太郎は?」
「ぼ、僕ですか?!」

「あの人とはどうなったの?」

え、えっとと、指をモジモジさせながら俯く花太郎。みんなはその続きを待った。
はははっと笑って頭をかくその仕種が照れを隠しているということは直ぐにわかるほど、四人の付き合いは長い。

ちょっと幸せオーラを出す花太郎にニヤッと笑って、その男にしては細い首に腕を回した。

「花太郎!今日は祝い酒だ!!」
「えぇ!?」

賑やかさを増して夜はふけていった。
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