ブリーチ(夢)
□カナ2
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最近華奈が変だ。十一番隊のみんなはそう思っていた。
何がどう変なのかと言われるととても困るのだが、とりあえず変なのだ。
「おい華奈!この書類お前のと一緒に出しといてくれ」
「了解でーす」
一角に書類を渡されて、提出先の隊ごとに分けていく。
ふと、四番隊と書かれている書類に目をやって手を止めた。
「華奈?どうしたの?」
「んー?」
弓親に声をかけられ、華奈も首を傾げながら答える。
「なんか、」
「?」
「モヤモヤ?モヨモヨ?」
「なんの話し?」
「何なんですかね?」
弓親と一緒に首を傾げる華奈に、やちるが「分かったー!」と飛びついてくる。
「華奈ちん甘い物食べたいんだー!」
「なに、お腹すいたの?」
「いや、そういう訳でもないんですけど」
肩から顔を近づけてくるやちるに向き直って、うーんと唸る。
「とりあえず、書類提出してきます」
「終わったら一緒に甘味屋さん行こうね!」
「いいですね!」
手を振って執務室を出ていく華奈に、一角が「何だありゃ」と言うが、それを聞いてやちるが笑った。
「つるりんニブチーン!」
「あぁ?!」
「華奈ちんは悩んでるんだよ」
その言葉に、一角だけでなく剣八も眉間にシワを入れた。
この前、華奈の事を悪く言っていたと思ったのは勘違いで、この隊にいる者は誰も華奈をナめていないという事は伝えた。
華奈も、そういう事をいつまでも引きずるような性格ではない。
では、今度は何に悩んでいるというのか。
「また、何かあったんすか?」
しかし、やちるは笑って「内緒」と剣八の肩に飛び乗った。
「剣ちゃん」
「あ?」
「今日のお昼、華奈ちんと二人で行ってくるね!」
それを聞いて弓親が閃く。
「僕もご一緒しますよ」
その笑顔が怪しくて、一角と剣八はさらに首を傾げた。
昼休み、何気に珍しいメンバーで昼食を食べて甘味屋へやって来た。
「で?」
「はい?」
注文した南瓜ゼンザイを食べる華奈に、弓親が口を開く。
「華奈の想い人って誰なの?」
「はい?!」
突然過ぎて何を言われているのかわからない。しかし、弓親は面白そうに顔を近づけてくる。
「言いなよ。隠し事なんて美しくないよ」
「あの?」
どういうこと?と首を傾げると、やちるがみたらし団子を食べながら見上げてくる。
「華奈ちんが最近変だから、みんな心配してるんだよ」
その言葉に弓親がため息をつきながらお茶を飲む。
「ずっと上の空だし、仕事はいつも通りこなしてるけどなんか危なっかしいと思ってたんだよね」
入隊当初からむさ苦しい男の中で男同然に過ごしてきた華奈を知っているだけに、感慨深い物があるらしい。
というか、面白そうなので楽しんでいる、という方が正しいが。
「私、恋なんてしてませんよ?」
「え?」
「いや、何かその人の事が妙に気になって、頭から離れないんですけど、」
それと恋とは違うでしょと笑ってゼンザイを食べ続ける。
その言葉を聞いて、弓親は華奈に背を向けてやちるに顔を近づけた。
「ここまで来てんのに無自覚?!」
コソコソと話し合っている二人の事は気にせず、甘味を味わう華奈。
そんな華奈を先に帰らせて、新しいお茶をもらいため息をつく。
「華奈って・・・」
「ニブチーン!」
「あそこまでとは、」
もう一度ため息をついてやちるを見る。
「副隊長は、相手が誰か分かってるんですか?」
「多分だけどね!」
「やっぱりあの子?ほら、華奈とよく一緒にいる、四番隊の小さいやつ」
「違うよー!」
じゃぁ他に誰がいると首を傾げる弓親に、やちるは嬉しそうに笑う。
「華奈ちん、うまく行くといいね!」
相手が誰かわからない事にはこれからを見て楽しむ事も出来ないと、深くため息をついた。