3月のライオン(夢)

□藤本19
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天気のいい公園で、弁当を食べている藤本に話しかける和子。

「先輩から連絡がありました。今度こちらに来る時は食事をする事になりましたよ」

懐かしいですねと、もう何十年も前の事を思い出してクスクス笑う。

「あの人は、まだお前の事を心配してるのか」
「もうしてませんよ。ただ、久しぶりに会いたいだけです」

結婚する前から、した後も、何度も大丈夫かと連絡をくれていた先輩の姿を思い出して笑ってしまう。

威圧的な所はあっても、誰かを意味もなく攻撃するような人ではないと説明してもなかなか納得してくれなかったが、

「五年もしたら心配されなくなりましたよ」
「五年もかかったのか」

「はい」
「ッチ」

舌打ちをする藤本に、また笑いが漏れてしまった。

「今日の御夕飯はどうしましょうか」
「昼を喰ったばかりで答えられるか」

「そうですね。じゃぁ、帰りに買い物でもして考えます」

午後も頑張ってくださいねと、空になった弁当箱を受け取って蜂蜜レモンとゼリーの入った袋を渡した。

「何かあったら連絡をくださいね」
「ああ」

短い返事に笑って、二人は別れてそれぞれ歩き出す。

藤本は会館へ、和子はスーパーへ。

中学生の時から変わらない二人。

一緒に居てもドキドキと胸が高鳴る事も、切なくて苦しくなる事もない。
ただただ、穏やかな気持ちでいられる相手。

「いや〜、ホント、昔っから何もかわんねぇなぁ」
「仲がいいのは喜ばしい事だ」

「・・・」

当時から今も、棋匠と会長に立場が変わってもこの二人がからかって来るのも、何も変わらない。

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