3月のライオン(夢)

□藤本16
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式を挙げるのはタイトル戦が落ち着いてからという事になったけれど、もう籍は入れてしまったので、私たちは現在一緒に暮らしている。

「お弁当、ここに置いておきますね」
「ああ」

対局を控え、いつもより口数が少なくなる雷堂くん。
集中している証拠だ。

その邪魔をしない為に、私は台所へ引っ込む。
朝食の片づけをしていると、戸の閉まる音がした。

「行ってらっしゃい」

ポソリと呟いて、掃除機をかけ始める。そして、

「あ」

台所、玄関とかけていき、部屋に入って声が出た。テーブルの上に置かれた袋。それは間違いなく今日のお弁当が入っている袋だった。

「そんなに集中してたんだ」

将棋の事以外考えられなくなっていたんだなと、エプロンを外して身だしなみを整える。

(会館の職員さんに頼んだら渡してくれるかな)

昔から会館の近くまでは行った事があっても入った事はない。
中がどうなっているのか、彼が何階にいるのかも分からないので、そんな事を思いながら家の戸に鍵をかけた。
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