3月のライオン(夢)

□藤本5
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「雷堂くん!」

会館の近くにあるベンチまで歩いて行けば、すでに待っている和子が居た。

「これ、頼まれたお弁当です」
「悪いな。勉強で忙しい時期に」

「いいえ、今さら慌ててもしょうがないですから」

それは気にしないでくれと笑顔で言われ、やはりこいつで間違いじゃなかったと差し出された弁当を受け取る。

「午後からも頑張ってください」
「ああ」

そんな短い会話を終え、控室に戻って弁当を開く。

和子の弁当はクラスの女子たちが持って来るような派手さはなく、目にも痛くないものだった
。改めて思う。自分の人選は間違っていなかったと。

弁当を食べ、袋の中に一緒に入っていた水筒からお茶を出してすする。

棋譜を見ながら弁当と共に入っていたタッパーの蓋を開け、蜂蜜に漬かったレモンを食べた。

脳が動き出す。

みんながなぜ和子を頼るのか、わかる気がした。


対局も無事に終わり、借りた弁当箱と水筒、タッパーを洗って拭く。
それを袋に戻して自分の部屋に置いた。
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