短編集2(夢)
□ゼブラ3
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町から外れた森の奥にあるゼブラの家。
釈放したとしても超一級危険生物であることに変わりはないゼブラ。IGOがその居場所を知るために用意したのだ。まぁ、ゼブラがその家を使い、そこで生活をするとも限らないが。
着いた家の扉を開け、設置されている冷蔵庫を開ける。中にはびっしりと食料が収められていたが、
「少ねぇな」
その一般的な量で大食いのゼブラが満足するわけがない。
森から聞こえる生き物たちの声に、いっそう腹の虫が声を荒げる。
「みゃー」
足にすり寄ってきた子供を見下ろし、そう言えばこいつは何を食べるんだと考える。
口の中に鋭い歯が生えているし、尾てい骨から伸びている尻尾、耳は獣のもの。鳴き声から言って猫科であることは確かだろうが、
「・・・めんどくせぇ」
何を食べるかなど知るか。とにかく今は自分の腹を満たすのが先だ。
森へ行くために玄関へ向えば、ズルズルと聞こえてくる布を引きずる音。
「ついて来んな」
人間界とはいえ森の中は猛獣の巣。こんな赤ん坊を連れて行けるわけがない。このよく分からない赤ん坊は釈放の条件でもあるのだ。不本意ではあるが、一応命を守らなければならない。
こちらを見上げている赤ん坊をそのままに扉を閉め、森へ向った。