短編集(夢)

□北条氏康
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「ここに嫁いで、本当に幸せでした」

布団の中から見上げてれば、細い目が更に細くなる程笑った顔。

「出来れば、そちらで待っていて下さいませ」

私も直ぐに向かいますからと言う愛しい妻の手を握った。白い、本当に白い手だ。

「ああ、待ってる」

出来るだけゆっくり来い。

お前もそんなに強い体じゃねぇんだ。俺はいつまでも待ってるさと、涙で俺の手も握っている自分の手も濡らしながら見つめてくる妻に笑いかけた。
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