ブリーチ(夢)
□カナ25
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四番隊の執務室では、
「おらぁ!花太郎出て来いや!!」
木刀を持った一角が扉を蹴破る勢いで開け、花太郎を呼んでいた。
「へ、あ、あの、斑目、三席?」
「お〜、お前が花太郎か」
「は、はひ!」
木刀を持っている一角だけでもかなり怖いのに、その後ろに何十人もの怖面な十一番隊がズラリと並んでいれば声だって裏返る。
肩を震わせてガクガクしていれば、一角が低い声で、
「上脱げ」
「え?」
「聞こえなかったのか!?上脱げって言ってんだよ!」
「ヒィ!すみません!!」
反射的に謝ってしまった。
しかし、謝ってばかりで一向に着物の上を脱ごうとしない花太郎に焦れた一角は、後ろで立っている数人に顎で合図するとガシッと花太郎を羽交い締めにさせた。
「お前、アバラ浮いてるか?」
「ううっ、うい、ううう浮いてないです!」
なんか、いつも以上に意味が分からない十一番隊の行動に、四番隊のみんなは呆然としながらその一部始終を見ていた。
「本当だろうな」
「は、はいっ!」
ブンブンと首を縦に振っている花太郎は、今にもリンチされそうな雰囲気だ。いや、されているように見える。そして、
「もし嘘だったら、俺と斬拍刀で真剣勝負だ」
「えぇぇ!?」
意味も分からないまま、花太郎は引きちぎられる勢いで着物の前を開けられた。しかし、そこには真っ平な腹があるだけで、骨は受けられない。
「・・・こいつじゃねぇのか?」
「ですが、一番つるんでるのはこいつで間違いないですよ」
「だよな。おい、ちょっと腹に力入れてみろ」
すると、今度は窓が開いてみんなの視線がそちらに削がれる。
「な、なにしてんですか一角さん!」
窓から入ってきたのは肩で息をしている華奈で、一角たちに駆け寄っていく。
近づけば、大きな男に後ろから羽交い締めにされている花太郎の姿。
「は、花太郎が身ぐるみ剥がされてる?!」
「華奈さんっ」
今にも泣きそうな花太郎。
「一角さんもみんなも!なにやってるんですか!!」
慌てて解放させて、震えた子犬のようになっている花太郎を背中にかばった。
「花太郎になんの怨みがあるんですか!」
「怨みはねぇ、ただ確認しに来ただけだ」
「確認?」
腕を組んで、華奈の後ろで小さくなっている花太郎を見る。
「お前じゃねぇみてぇだな」
「え、えっと」
「おいお前ら!一旦引くぞ!」
「うっす!」
ノッシノッシと執務室を出ていくみんなの背中を見送って、見えなくなると花太郎の前にしゃがみ込む。
「なんか、ごめんな?」
「い、いえ、というか、なんだったんですか?今の」
「私にもサッパリだ」
意味が分からないにも程がある。
二人で首を傾げあっていると、ガラッと戸を開けて荻堂が入ってきた。
「あれ、華奈七席?」
「あ、おはようございます荻堂八席」
「おはようございます。っていうかいいんですか?」
「?」
「もうすぐ出勤時間過ぎますけど」
パッと時計を見れば、荻堂のいう通り5分後に時間は迫っていた。
「うわぁー!隊長にしごかれる!」
他の隊員が遅れてきても気にしていないのだが、華奈の時は切り合いの相手をさせるいい口実とばかりに絡んでくるのだ。
窓に駆け寄って足をかけると一度振り返って花太郎に手を振り、
「迷惑かけたお礼に今日の昼メシ奢るから!」
昼休みむかえに来るなと叫んで、四階にある部屋の窓から飛び降りていった。
「華奈七席も大変ですね」
「そ、そうですね」
訳も分からないまま巻き込まれている花太郎もかなり大変だろうと思ったが、そこは口にださなかった。