魔法少女リリカル00 〜世界を越えた超兵の話〜

□第05話 機動六課へ
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フェイトside



ヘリのローター音以外、何も聞こえない静かな機内で私はハプティズムさんを見ていた。

「ねぇ、やっぱりバインドを外しちゃ駄目かな…」

「くどいぞ、テスタロッサ。なぜそんなに肩入れする?執務官のお前が規則を破っては皆に示しがつかんだろう?」

「フェイトちゃんの気持ちは分からなくもないけど、こればっかりは仕方ないよ」

なのはとシグナムにそう言われ、私はまた黙ってハプティズムさんを見る。
二人の言い分は正論だ。大量のガジェットを単機で殲滅できる力を持つこのデバイス、そしてその保有者を簡単には解放出来ない、拘束しておくべきだと。

(でも、彼は私たちや民間人を助けてくれた恩人でもあるんだよ?)

沢山の人々が彼に助けられた。私が出来なかった事を、彼はやってのけたんだ。

(いや、でも…私、押し倒されたんだよね)

よくよく考えたら、私は彼…いや、ハレルヤに押し倒されたし、拘束しておいた方が私的には安全なんだよね。

〈少しよろしいですか?ハラオウン執務官〉

「ふぁっ!?な、なにかな!?」

考え事をしていた私は突然声をかけられて間抜けな声を出しながらも声の発信源、自分の手に握られているハプティズムさんのデバイスに視線を落とす。

〈申し訳ないのですが、幾つか質問したいのですが答えていただけますか?〉

「うん。機密や秘密事項でない限りは答えられるから何でも聞いて」


喋った事に驚きながら、私は手のひらにあるデバイスを見る。
女性の機械音声からみてインテリジェントデバイスだと判断する。


〈これから私達はどんな場所に連れていかれ、どのような処遇になるのですか?〉

「えっ…と、これから行く場所は今日から1週間後に運用される新設部隊の隊舎で、あなた達の処遇を決めるのはその部隊の部隊長なんだ」

〈分かりました。ありがとうございます〉

「私からも質問なんだけど、いいかな?」

〈……貴女は私の質問に答えてくれた。ならば、私も答えるのが礼儀。よほどの機密情報でなければ答えましょう〉

「ありがとう。なら…そうだ。あのロボットの姿はバリアジャケットだよね?緑色の魔力が雪みたいに舞っていたけど、あれはハプティズムさんの魔力なのかな?」

〈……厳密に言えば、マイスターの魔力ではありません。あれは私に組み込まれている機械が作り出した粒子です〉

「その機械、てどんな力があるの?」

〈機密事項です。答えられません〉

「う〜ん…分かった。なら、あなたの名前を教えて?ロボット、なんて名前じゃないよね?」

〈…アリオス。マイスターから頂いた、私の名前です〉

その後も幾つかお互いに質問と回答を繰り返して、話す事も無くなり私は窓の外を眺めてぼんやりする事にした。
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