魔法少女リリカル00 〜世界を越えた超兵の話〜
□第04話 GUNDAM
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アレルヤside
「コレが敵、なのか?」
ひと昔前の戦闘機みたいな形をした敵をビームライフルで撃ち落とす。
もちろん、相手は此方に攻撃を仕掛けてくるけど、それは単調で統率力のない攻撃で、僕には掠りもしない。
「アリオス、航空機の状況を」
〈状況を説明します。航空機は現在、四基あるエンジンのうち両翼の外側のエンジンが攻撃を受けたらしく、煙を吹いています。爆発を考慮した場合、すぐに切り離しを行うべきかと〉
「それを行った場合による弊害は?」
〈今現在の航空機の状態だと、空港までの高度が足りません。エンジンを二基も切り離せば機体は軽くなり、飛距離は伸び、空港までは行けますがさらに高度が下がります。その状態での着陸となれば、航空機のブレーキだけではとても止まれません〉
「対処法は?」
〈エンジンを切り離したあとで、アリオスが航空機の先端に位置し、航空機のスピードを抑えれば対処は可能です。ただし、トランザムは使えないので注意しなければなりませんが。…よろしいですか?〉
「充分だよ」
現状ではそれしか手がない。なら、急いでやるべきだ。
〈この空域の管理局魔導師、航空機、空港管制塔に今の作戦を通達しました。航空機側と管制塔からは作戦の了承を受信、管理局側はサポートに回るとのことです〉
「仕事が早くて助かるよ。…いくよ、アリオス!」
〈了解しました〉
後方の敵を管理局に任せ、僕は航空機の右側に移動する。
〈ミッション開始。MA形態からMS形態へ移行〉
装甲が稼働、スライドしてアリオスがMS形態になる。僕はビームサーベルを握ると翼の下に潜り、エンジンと翼の付け根にビームサーベルを向ける。
〈航空機から連絡、燃料の供給をカット。エンジンの切り離しが可能になりました〉
「了解。切り離すよ!」
ビームサーベルを横一線に振り抜く。切り離したエンジンは後方へ落下していった。
「よし、次は右!」
航空機の下をくぐり抜け、反対側に到着し、切り離す。
〈2基のエンジン、脱落を確認。マイスター、先端へ移動して下さい〉
「了解」
アリオスの指示通り、先端に向かう。遠くには空港が見え、消防車やレスキューの赤いランプがキラキラと輝いていた。
「先端部に到着、減速開始まで待機する」
〈航空機、エンジン脱落により機体が加速。着陸時のスピードを越えました。…計算終了。マイスター、30秒後に減速を開始します。おそらくかなりのGが体にかかりますのでご注意を〉
「了解」
目の前に空間モニターが表示され、カウンターが減少し始める。
〈残り時間、5、4、3、2、1〉
「アリオス、GNドライヴをフル稼働!航空機を減速させる!」
ヒュイイィィン、とGNドライヴが音をたて、スラスターからGN粒子が大量に噴射されていく。
次の瞬間、体にかなりの重量の負荷が襲ってきた!
「ぐっ!うぅぅう!」
歯をくいしばり、必死に耐える。アリオスが支えてくれているのか、腕は震えるけど折れたりはしない。
〈航空機、減速を開始…計算終了。マイスター、残念ですがすぐに離脱を。計算上、航空機は減速しきれません〉
「なっ…!?でもこの飛行機には、民間人が乗ってるんだよ!?」
〈そうです。ですが、計算以上に飛行機は加速していて無事に着陸できる可能性は30パーセントを切っています。私は貴方の生命を危険に晒す訳にはいきません。離脱してください〉
冷たい物言いだ。…けど、アリオスは僕を優先しているから、そう言っている事はわかる。
「アリオス、時間ギリギリまで航空機を助ける方法を探してくれ」
〈…………〉
「頼むよ、アリオス」
〈………検索終了。マイスター、この方法を使えば航空機が助かる可能性は上がります。ただし、この方法を使用すると機体の稼働率が極端に下がります。私としてはおすすめ出来ません〉
「…どうして?」
〈航空機を助けたあと、貴方は管理局に何らかの理由で拘束されるでしょう。時空管理局がどんな組織か私には分かりません。仮に私が管理局によって奪取された場合、私は機密漏洩を防ぐ為に私を含む全てのデータをデリートします。なので、マイスターは最悪の事態も想定しなければなりません〉
時空管理局と戦うかもしれない、て事か。
けど…それでも…!
「……僕は、救える命を、見捨てたくない」
〈…………了解、空港着陸まで残り20秒。背部、脚部スラスターに全GN粒子を供給〉
〈…GNフェザー、展開します。マイスター、全力で押し返します。ご注意を〉
「了解!」