魔法少女リリカル00 〜世界を越えた超兵の話〜
□第06話 模擬戦(対フェイト戦)
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アレルヤside
ピピ、ピピ、ピピ…
「…うぅ…」
眠たい体を動かし、僕は手探りで音の発信元に手を伸ばす。伸ばした先にあったスイッチを押して音を止め、体を起こす。
「………ここ、何処?」
最低限に生活ができる家具に見慣れぬ天井、体に感じる重力。…僕はいつ、地球に降りたんだっけ?
「…いや、違う…」
だんだん頭がはっきりしてきた。此処は地球じゃなくて、ミッドチルダ。そして僕は昨日、元の世界に帰る為に管理局で働く事にしたんだっけ…
「…そうだ、今日は検査があるんだった」
ベッドから出て軽くシャワーを浴び、洗面所で顔を洗って歯をみがく。髭は生えない体質だから気にしない。
「服は確か…あ、洗濯したんだっけ」
昨日は部屋に案内された後、汚れていたソレスタルビーイングの制服は洗濯してしまったんだった。
「うーん…たしか昨日、高町さんが服を用意してる、て言ってたよね?」
部屋にあるクローゼットを開けると中には黒にオレンジのラインがあるトレーニングウェアと茶色の制服がなん着か入っていた。
「うーん、とりあえずは制服でいいかな?」
制服に袖を通して姿見で格好を確認する。別段へんなところは無い。ちょうどいいサイズだ。
ポーン…
「誰か来たのかな?」
制服を着てネクタイを調整していると部屋のインターホンが鳴った。ちょうどいい、何処に行けばいいか分からなかったし、いま来た人に聞いてみよう。
「はーい…て、ハラオウンさん」
「おはよう、アレルヤ」
扉を開けるとそこには黒い制服を着たハラオウンさんがいた。
「ちょうどよかった。実は今日は検査を受けるんだけど場所が分からなくて…」
「うん、詳細ははやて本人から聞いたよ。だから私が案内しようと思って来たんだ」
「助かるよ、ありがとう」
そのまま部屋を出て、まず向かったのは食堂だった。
「まずは何か食べないとね。昨日は何も食べてない、て聞いてるよ?」
「うん、昨日はいろいろありすぎて疲れてたから何も食べずに寝ちゃったんだ」
「そうなんだ…。あ、私はサンドイッチとコーヒーを頼むんだけど同じのでいいかな?」
「任せるよ」
「分かった。なら先に席に座ってて。私が受け取ってくるから」
ハラオウンさんが食堂のカウンターに向かっていき、僕は手近な席に座る。
外の景色を眺めて、次に自分の手を見る。敵のガンダムのファングを受けた時に僕は腕や体に怪我をしていたのに今はそんな怪我なんて最初から無かったかのように健康そのものだ。
この世界に来てからたった2日しか経ってないけど、自分のいた世界からこの世界に来るまで何日たったのか分からない。
(この世界に来た時に最終決戦で怪我をした場所が何も無かったみたいに綺麗になってた。どんな原理か分からないけど、服も変わってたし…)
怪我が治るほど時間が経過していたのか、他に別の要因があるのか…
(彼女に聞いてみよう)
食堂のおばちゃんからサンドイッチとコーヒーのセットを受け取ってきたハラオウンさんが対面の席に座る。
「お待たせ。さ、食べようよ」
「ありがとう、ハラオウンさん」
彼女が持ってきたトレイを受け取ろうとするとヒョイ、とかわされてしまった。
「…これからは一緒に働くんだから私の事はハラオウンじゃなくてフェイト、て呼んでほしいな?」
「いいのかい?」
「嫌だったらこんな事は言わないよ」
「…わかったよ、フェイト。朝食、ありがとう」
「いえいえ。はい、どうぞ」
満足気な表情のフェイトからトレイを受け取り、席に座り直す。対面に彼女が座ったのを確認してからサンドイッチを一口、二口と食べていく。
特別おいしいとかはないけど、普通においしい。
「そういえば、聞きたい事があるんだけどいいかな?」
「ん?なに?」
僕はさっきまで考えていた事を彼女に話す。すると彼女は難しい表情をした。
「昨日、過去の次元漂流者のデータを見たんだけどアレルヤのような事例は無かったよ。過去の人たちは基本的に怪我をしていた例が多くて服もぼろぼろだったみたい」
結局、詳細は分からないのでこの件はここまで、となった。