魔法少女リリカル00 〜世界を越えた超兵の話〜
□第03話 事件発生
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アレルヤside
「うん、そう。容疑者を確保したから…うん。鑑識をこっちにまわして。……うん、お願いね」
見事に拘束された僕は、通信をしている金髪のツインテールの美少女の行動を観測していた。
(空を飛んだり、光るロープを何も無いところに出現させたり…分からない事ばかりだ)
それにさっき眠ったハレルヤの行動もよく分からない。なんで彼女を押さえつけたのに、そのまま解放したんだろう?
言っては悪いけど、ハレルヤは欲望に忠実な性格だから彼女に乱暴するかと思ったんだけど…
「あの…すみません」
「……なんですか?」
うわー…すごく機嫌が悪そうだよ、目が座ってるし。ここは丁寧な口調でいこう。
「あの…此処は地球の何処ですか?」
「地球?……ううん、此処は地球じゃないよ?」
地球じゃない?でも肌に感じる風や太陽の暖かさは本物のそれだけど…
「じゃあ…此処は何処かのコロニーですか?」
「?……コロニーなんて言葉は聞いた事がないよ?」
コロニーを知らない?小学生でも知っている事なのに?
「なら…ガンダム、ジンクス、アロウズ、ソレスタルビーイング、カタロン…今の言葉で何か分からない?」
「う〜ん………ごめんね、分からない」
彼女は申し訳なさげに首を横に振った。アロウズやソレスタルビーイングを知らないなんて…なら、此処は一体どこなんだ?
「最初の質問で聞くんだけど…貴方は地球の出身なの?」
「ええ…そうです」
「そっか…なるほど…。あの、今から説明する事は貴方にとって非現実的な事ばかりだけど、事実だからしっかり認識して欲しいんだ」
僕は取り敢えず頷く。ソレを確認した彼女は説明を始めた。
此処は地球じゃなく、ミッドチルダと言う世界で科学と魔法が発展した世界だということ。
そして、僕は何が原因かは分からないけれど時空の裂け目に落ちてこの世界に辿り着いた次元漂流者という事。
彼女、フェイトは時空管理局という組織に所属していて、地球の役職に例えたら警察機関によく似ているらしく、次元世界での事件や犯罪を取り締まったり僕のような何かに巻き込まれた人たちを保護したりするらしい。
「それじゃ…僕はどうなるんですか?」
「一応は保護、としたいけど、貴方は武器を持っていたし、その…私を押し倒したし…」
ああ…ハレルヤ、君のせいで何かヤバい方向に話が行きそうだよ。
「…それにしても、貴方はさっきと雰囲気が全然違うよね?さっきは肉食動物みみたいにギラギラしてたのに、今はすごく丁寧だし…」
「あぁ…うん…僕は二重人格だから」
「二重人格?」
僕は自分の事を軽く説明する。二重人格で僕とは別に凶暴な性格がいて、フェイトを押し倒した時がちょうど凶暴な性格が表に出ていた時だった、と説明した。
「そうなんだ…あ、えっと…今さらなんだけど、貴方の名前は?」
「…僕はアレルヤ、アレルヤ・ハプティズム。凶暴な性格の方はハレルヤだよ」
「アレルヤとハレルヤね、分かった」
その後、到着した管理局の部隊が現場の鑑識や片付けを始め、僕はフェイトに連れられて黒いスポーツカーみたいな車に載せられた。
その際に、彼女が自分の防護服…バリアジャケットを解除して服が変わったのには流石に驚いた。
「何処に連れてかれるんだい?」
車を走らせること数分、僕は暇なのでフェイトに話しかける事にした。
「本当はいろいろ手続きとか必要なんだけど、まずは私の親友に君の話を聞いて貰いたいんだ。私も地球の事をあまり知らないから、彼女…なのは、ていうんだけど、なのはなら貴方が言っている事が何か分かるかもしれない」
「その、なのはさんも地球の人なのかい?」
「うん。管理局には少ないけど地球出身の人がいるんだよ」
信号で車が止まる。別世界に来たと聞いた時は驚いたけど、ちゃんと人間がいるし、一般的な常識やルールは地球と変わらないみたいだ。
「あ、そういえ」『緊急通信を受信』「バルディッシュ、表示して」
あのオレンジのクリアプレートの事を聞こうとした時、なにやら不穏な通信が入ってきた。表示された文章はよく分からないけど、フェイトの様子を見る限り、あまりいいものじゃないのが分かった。
「ごめんね!ちょっと寄り道するよ!」「え?うわっ!?」
急発車した車の座席に押し付けられながら、フェイトを見ると彼女はかなり険しい表情をしていた。
「いきなりどうしたんだい!?」
「今、連絡があったけど、民間の航空機が正体不明の敵に襲われてるらしいの!すぐに援護にいかないと航空機が墜落して民間人の犠牲者が出てしまう!」
車はパトランプを光らせながら、かなりのスピードを出して道路を疾走した。