魔法戦記リリカル0 0 ブレイク・ワールド

□第2話 未知との遭遇(ロックオン編) 
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ライルside


ライル(………んぅ…俺は何をしてたんだ…?)

頭にふにゅ…と、柔らかい感触がある。どうやら今、俺は寝ているみたいだ…

ライル(しかし、この柔らかい枕はなんだ?とても心地良いな…)

それに…良い香りがする。柔らかな、心が落ち着く香りだ 。

?「そろそろ…起きないかな…?」
ライル「…ん…誰だ…?」

閉じていた目を開くと、ソコには…

?「あ…やっと起きた…」

黒い髪と、深い青の瞳をした女の子の顔が目の前にあった 。 ……というか、この態勢はもしかして…

ライル「(膝枕されてんな、俺)……君は?」

年の功か、俺は動揺することなく身体を起こす。俺と女の子は向かい合った状態でその場に座る。

?「…私は、ハルファス…」

夕暮れの草原で、女の子はそれだけを言うと黙りこんだ。 …ただし、俺を見つめたままだが。

ライル「あ〜、その〜、なんだ?俺に何か用なのか?」
ハルファス「…助けて、欲しいんです…」

おいおい…初対面の女の子から何やら物騒な事を頼まれたんだが…。 いや、まだ物騒な事を頼まれた訳じゃないな。詳しく話を聞いてみるか…嫌な予感しかしないがな。

ライル「何から助けて欲しいんだ?」

そう聞くが、彼女は首をフルフル…と振る。 綺麗な黒いロングヘアーがふわり、と揺れる。

ハルファス「…違う…助けて欲しいのは世界です…」
ライル「世界…だと?」

コクリ、と頷くハルファス。彼女が両手を合わせてゆっくりとひらくと、手のひらの上に随分と懐かしいモノが現れた。

ライル「魔法だと…?まさか、君は…うおっ!?」

過去の人間…とは言えなかった。俺の目の前で彼女の魔法が弾け、光で真っ白になって目を閉じたからだ。

ライル「コレは…」

次に目を開けたら、ソコは赤茶けた大地が広がり…

『総員、撃てぇー!!』

様々な魔力弾や砲撃が空を飛んでいく…

ライル「マジかよ…」

戦場だった。俺の背後から放たれた攻撃は空を突き進み、 何かにぶつかって爆発する。 爆発の煙が晴れていくと、ソコには…

ライル「なんだよ…アレは…」

人間サイズのモビルスーツが浮いていた…。しかも同じ系統のヤツが何体もいやがる。

?〈…………〉

大量のモビルスーツは地上に着陸するとビームライフルを撃ちながら此方側に近づいてきた!

『総員、対モビルスーツ戦、開始!!』

『『『『おおぉぉおーーー!!!』』』』

背後からの大声に振り返るとソコには大勢の人がいてそれぞれが武器を持ち、人間サイズのモビルスーツに立ち向かっていく。

そして、戦いが始まった。圧倒的な物量に怯む事もなく戦う人々…。 仲間が傷付き、倒れてしまっても、彼等は止まらなかった。いや、止まれなかったのかもしれない。

ライル「…やめろ……」

俺の目の前でビームに貫かれて倒れた人…その顔は志半ばで倒れる無念で、悲しく歪んだ顔をしていた。

ライル「やめろ…!」

戦いは続く。撃っては撃たれ、撃たれたら撃ち返す。お互いの攻撃が収まる事はなく、その激しさはさらに加速する。

…此処は、地獄か?

ライル「やめろぉおーーー!!」

腹の底から叫びをあげる。すると全てが消えて、元の夕暮れの草原へと戻っていた。

ライル「はぁ、はぁ…」
ハルファス「……大丈夫ですか…?」
ライル「!、…っ!!あ、あぁ…大丈夫だ…」

ハルファスが俺の目の前にいた。俺は怒りに任せて思わず彼女に怒鳴ってしまいそうになるが、何とか耐えた。 何故なら、彼女の瞳からは涙が溢れていたから…

ライル「なんで、泣いてるんだ?」
ハルファス「…貴方に…ひどい事をしたから…ごめんなさい…」

うつむいて、謝罪するハルファス。涙がぽろぽろと地面に落ちる。…女の子は悲しませるな…て、親父によく言われたっけな…

ライル「…助けるよ、ハルファス」
ハルファス「……?」

顔を上げたハルファスは涙も拭かずに、不思議そうな顔をして俺を見る。 …ったく、なんかスゴい事を言っちまったなぁ。
帰ったらリジェネに文句を言ってやる。

ライル「世界を救うんだろ、やってやるよ」
ハルファス「…いいの?」
ライル「いいに決まってるだろ。世界の危機ぐらい、俺が救ってやるよ。だから、もう泣くな」
ハルファス「!…ありがとう…」

潤んだ瞳で微笑むハルファス。う…、かわいいじゃねえか 。

ロックオン「そうと決まればさっさと行動するか。俺のサバーニャは何処だ?」
ハルファス「アレ…?」

ハルファスが指をさしている方向を見ると、ソコには…

ライル「……そ、そんな馬鹿な…」

ズタボロになったサバーニャが膝をついていた。確かに古い機体ではあったがなんであんな姿に…

ライル「済まねぇ…力になれそうにない…」

頭を掻きながら俺はハルファスに謝罪する…が、彼女は首を横に振る。

ハルファス「…大丈夫、私が貴方の力になる…」

どうやって…と言う前に、ハルファスが光に包まれる。その光はだんだんと大きくなり、光が弾け飛ぶとソコには…

ライル「マジかよ……」

俺たちに襲いかかってきたガンダムが立っていた。しかも 、襲われた時にはなかったGNドライヴがダブルオーガンダムのように、両肩についていた。

ハルファス〈私の、もう一つの姿です…〉

ハルファスはその場に膝をつくと手を差し出してきた。 …乗れってことか、コレは…。 そして、俺がハルファスの手に乗ろうとした次の瞬間、俺はコックピットに座っていた。

ライル「……は?」
ハルファス「…ようこそ…マスター」

後ろを向くとハルファスが座席に座っていた。何が起こったかよく分からないんだが…とりあえず今分かる事はガン ダムハルートと同じ複座式コックピットだな、こりゃ。

ライル「ふむ…原理云々は魔法で説明がついちまうが…なんで君は俺たちを攻撃した?」
ハルファス「…お姉ちゃんが、自分で見つけたマスターは自分で力を試せ、て言ったから…」

…はた迷惑な姉さんだな、おい。

ライル「はぁ……。ちなみにアレルヤ…俺と一緒に居た奴は何処にいるんだ?」
ハルファス「…分からない…」

…前途多難な予感がプンプンしやがるな…

ライル「まぁ…仕方ないか。とりあえず、世界を救いにいきますか…」
ハルファス「…了解、ゲート、展開……完了」

ハルファスがボソボソ…と何かを呟くと、目の前にあの白いゲートが出現する。

ライル「(サバーニャと同じコックピットだし、何時もの 感じで行くか…)ロックオン・ストラトス、ハルファス、 狙い撃つぜ!」

機体を浮かばせて前に進み、ゲートをくぐる。

もしかしたら、彼女に会えるかもしれないという、希望を胸に…
 

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