魔法戦記リリカル0 0 ブレイク・ワールド
□第2話 未知との遭遇(アレルヤ編)
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アレルヤside
アレルヤ「…ぐ…ぅ…」
風が頬を撫でる感覚に僕は意識が覚醒し始める。ん…風?
アレルヤ「なんで風が?」
驚いて身体をおこし、辺りを見回す。 僕が寝ていたのは青い空の下で、地平線まで続く草原の真ん中だった。
アレルヤ「なんか…こんな事が前にもあったような…」
ハレルヤ(なのはとフェイトに初めて会った時だ、相棒)
アレルヤ(ハレルヤ?随分と久しぶりだね)
随分前から起きなかったハレルヤが話しかけてきた。最後に話したのは…何年前だったかな…?
ナハト(しかし…また世界を越えるとは、君はつくづく何かに巻き込まれるな、兄弟)
アレルヤ(ナハトまで…というか、やっぱりまた世界を越えたんだね)
あのアンノウンが発生させたゲートは、以前に僕が過去から未来へ戻る為に使ったゲートによく似ていた。
アレルヤ(はぁ…ちなみにこの場所が何処か分かる?)
ナハト(今回は私の意志が反映されてないからな…検討もつかん)
ハレルヤ(ま、ソレは後ろにいる奴に聞こうじゃねえか)
後ろ?
ハレルヤの言葉を聞いて後ろを見ると…ソコには僕の機体に突撃してきた赤と白のカラーリングが施されたアンノウン…ガンダムが立っていた。
アレルヤ「!?、コイツも…ガンダムだったのか…」
?〈目を覚ましたか、アレルヤ・ハプティズム〉
アレルヤ「しゃべった…!?」
思わず警戒する。こちらに武器はない…どうする?
?〈警戒しないで欲しい。手荒な真似だったが、あの方法しか君達に接触する手段がなかったのだ〉
膝をつき、僕を見下ろすガンダム。
…僕達に接触するため?
アレルヤ「……なら僕の質問に答えてくれ」
?〈ああ、もちろん〉
アレルヤ「まずは、君の名前と…僕に接触した目的を聞かせてくれ」
?〈了解した。私の名前はフェニックス…フェニックスガンダムという。そして、君に接触した理由は…数多の世界 を助けるのに協力して欲しいからだ〉
アレルヤ「…助けて欲しい?」
フェニックス〈そうだ。今、世界は危機に晒されている… 。詳しくはコレを見た方が早いだろう〉
フェニックスのガンダムアイから光が照らされ、空間にスクリー ンのようなモノが映し出した。
アレルヤ「……そんな、コレは……」
スクリーンが見せる光景が、僕には信じられなかった。その光景とは…
フェニックス〈コレは以前に起きたモノだ。しかしコレが現実になり得る事態だ〉
従来のモビルスーツや人間サイズのモビルスーツ、果てにはかなり大型のモビルアーマーが人々を虐殺、殲滅し、その世界を終わらせる光景だった。
アレルヤ「なんであんな…!」
フェニックス〈……ジェネレーションシステムの暴走だ〉
アレルヤ「ジェネレーションシステム…?」
フェニックス〈そう、古の時代、あらゆる世界の管理と調整をしていたシステム…ソレがジェネレーションシステム だ〉
1つだったスクリーンが幾つも現れ、そのスクリーン1つ1つが様々な世界やモビルスーツを映し出す。
フェニックス〈だが…ジェネレーションシステムは悪く言 えば世界を好きなように出来る危険なシステムでもあった 。それに異世界間の戦争勃発も危惧され…古の人々はジェ ネレーションシステムを完全破壊し、数多の世界に干渉出 来ないようにした………筈だった〉
アレルヤ「………」
フェニックス〈だが、そのジェネレーションシステムは再び起動した。己のもつナノマシンで自己を修復し、世界を調整し始めた。壊れたAIが導き出したのはより良き世界を作る為の不確定要素の排除……つまり知恵を持ち、成長 、進化する人間という種族の排除だった〉
スクリーンが消え、僕はフェニックスを見る。コイツは機械だけど…悲しげな雰囲気をだしていた。
アレルヤ「どうして、僕を選んだのかな?」
フェニックス〈………悪いとは思ったが、貴方の経歴を調べた。貴方は…いや、貴方の中にいる二人も含め、無限とも言える宇宙や世界の中で、私は貴方こそが私の力を最大限に活用できると思った。だから貴方に接触し、この話をした〉
僕にしか出来ないこと、か…。
アレルヤ「………わかった。協力するよ」
フェニックス〈いいのか?〉
アレルヤ「良いも悪いもないよ。僕しか出来ないなら、僕がやらなきゃ」
30年前、人類の存亡をかけたELSとの決戦の際に、対話を終え、ELSの母星へと向かう前に刹那が言っていた。
【良いも悪いもない。ただ、俺には存在する意味があった 】
なら…僕という存在の意味は、この時の為にあったのかもしれない。
フェニックス〈ならば行こう。アレルヤ・ハプティズム… いや、我がマスターよ〉
フェニックスの手が僕の前に降ろされる。僕がその手に触れた次の瞬間、風景が一転して僕は透明な球体の中にいた 。そこから見えるのは、さっきまで僕が立っていた草原だ 。
アレルヤ「フェニックス、コレは?」
フェニックス「コレが私のコックピットだ」
背中からの声に振り返ると、ソコには女の子がいた。
アレルヤ「君は?」
フェニックス「私がフェニックスだ…と言っても、この姿は貴方の知識で言えばデバイスがガンダムで、私は管制人格というモノだ」
彼女は騎士のような服装にフェニックスの装甲をあしらえた格好をしていた。 特に特長的なのは脚のふくらはぎまである長い純白の髪、その髪先が燃えるような鮮やかな赤い色をしていて、瞳はフェニックスガンダムのツインアイの透き通るような翡翠色だった。
アレルヤ「綺麗だね、君は」
フェニックス「うぐ…初めてだな、そんな事を言われたのは…///」
頬をピンク色に染めるフェニックス。…微笑ましい姿だが 、あまり刺激しすぎるのも良くないし、本題に入ろう。
アレルヤ「このガンダムはどうやって動かすんだい?操縦席やグリップとか無いんだけど…?」
フェニックス「ああ…このフェニックスは特殊なタイプでな、操縦者の意志と行動をトレースして機体を動かすのだ 。そのトレースの接続や武装のサポートをすることが私の役割だ」
アレルヤ「そうなんだ…。動力はなんだい?」
フェニックス「……オリジナル太陽炉を二基、肩に積んでいる」
……今の間はなんだろう?
アレルヤ「わかった。ならさっそく動かしてもいいかい? 」
フェニックス「了解した、マスター。では…接続開始」
フェニックスが言葉を発すると同時に幾つもの透明なプレ ートが僕のまわりに集まり、身体に触れるか触れない程度の所で止まる。
アレルヤ「コレは…フェニックスかい?」
プレートが型どったのはフェニックスガンダムの姿だった 。
フェニックス「そうだ。この状態で腕を動かしたり、歩いたりしたらフェニックスガンダムがその通りの動きをする」
そう言われて試しに腕を前に出すと景色の中にフェニック スガンダムの腕がうつる。…本当に動いてるよ、コレ。
アレルヤ「飛行に関しては?」
フェニックス「操縦者の意志…つまり考えだな。フェニックスはその通りの動きをしてくれる。その辺りはデバイスを使っていた貴方ならよく分かるのではないか?」
なるほど…あの感覚か。
アレルヤ「わかった。やってみるよ」
昔、リースやハルートと一緒に飛んでいた感じを思い出す 。フェニックスガンダムはそれに応えるように、空中へと浮かんだ。
フェニックス「そうだ。言い忘れていたが、このガンダムは今は通常のモビルスーツと同じ大きさだが、状況に合わせて性能や大きさを変える事が出来るし、デバイスのようにバリアジャケットにも出来る。覚えておいてくれ」
アレルヤ「了解だよ。…ところで、ロックオン…僕と一緒にいた人は何処に行ったんだい?」
フェニックス「それが…すまない。実は私の姉妹機である ハルファスが連れていたのだが…途中ではぐれてしまっ て、何処にいるのか分からないのだ」
申し訳ない、とフェニックスは頭を下げた。そうか…まぁ 、ロックオンなら大丈夫だとは思うけど…
アレルヤ「けど、君の姉妹機のハルファスも君と同じ考えと気持ちを持って行動しているんだよね?」
フェニックス「ああ、その通りだ」
アレルヤ「なら、いつかは会えるさ。目的が同じなら必ずね」
フェニックス「そうか…そうだな」
フェニックスも不安だったみたいだけど、顔を上げて前を見る。
フェニックス「よし…行こう、マスター!」
アレルヤ「了解、アレルヤ・ハプティズム、フェニックス 、飛翔する!!」
機体がさらに上昇し始める。地上がどんどん遠くなるが何処までも草原が続いていた。 ある程度の高度に達したので機体をその場に静止させる。
フェニックス「マスター、ゲートを展開、転移するから操縦を頼む」
アレルヤ「了解」
僕の背後でキィン…と音がなると目の前にゲートが展開された。
フェニックス「ゲート展開完了…マスター、前に進んでくれ」
僕は言われた通りにフェニックスガンダムを動かしてゲートをくぐる。
…もしかしたら…彼女達に会えるかもしれないと、少しだけ期待しながら…