剣の章
□サイコウェポン
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【送信者:王様/件名:王様ゲーム/本文:目の前の魔物、コボルトを倒せ!/END】
秀樹
「あっちは凶器持ってるんだ。」
「こっちは素手で戦えってか!?」
秀樹がボヤくと、再び携帯が鳴った。
【送信者:王様/件名:王様ゲーム/本文:強く念じろ。そうすれば自分たちに見合った武器『サイコウェポン』が具現化する。それを使って倒せ。/END】
秀樹
「何か偉そうだな、王様…」
秀樹はブツブツ言いながらも強く念じると、里美もまた強く念じてみた。
その時…
秀樹の両手から一降りの巨大な剣が具現化された。
秀樹
「コイツを使って戦えってか。」
「ちょうど暴れ足りねぇって思ってたとこたったんだ!」
そう言って秀樹は、大剣を軽々と振りかぶった。
コボルトが一太刀のもと倒れた。
だが、その時…
どこからともなく現れたもう1匹のコボルトが、背後から里美を襲おうとしてきた。
秀樹
「里美!?」
秀樹が里美をかばうようにして、コボルトの剣を受けた。
秀樹
「里美はオレが守る!」
秀樹が大剣を振りかぶった。
コボルトはその場に倒れると、再び起き上がる事はなかった。
周囲に魔物の気配がなくなると、秀樹の大剣はそっと消えた。
秀樹
「戦闘が終わると消えるのか…」
「持ち運びがない分、便利な代物だぜ。」
「この“何とかウェポン”ってヤツは…」
里美
「『サイコウェポン』です。」
「そんな事より秀樹君、腕から血が…」
秀樹
「さっきの剣で受けた傷か…」
「大丈夫、こんなの唾でも付けときゃ治るって。」
里美
「駄目、私に見せて。」
そう言って里美は強引に秀樹の傷付いた腕を手に取った。
普段は引っ込み思案でおとなしい里美からすると、なかなか見られない光景だ。
里美は自らの『サイコウェポン』だった十字架を天に翳すと祈った。
すると秀樹の腕の傷がみるみる塞がっていった。
里美
「私の得た力は、癒しの力…」
秀樹
「す、凄ぇ…」
里美
「さっきは私の事守ってくれてありがとう…」
「それと…」
「死ぬ前での王様ゲームの時…」
「私が仮病を使って学校を休んでなければ、私たち…」
秀樹
「その時はまさか死ぬなんて思ってなかったんだ。」
「それより早くこの世界から脱け出して、2人で生き返ろうぜ!?」
秀樹と里美は、再び2人で生き返る事を誓った。
その時、2人に携帯が鳴った。
【送信者:王様/件名:王様ゲーム/本文:服従確認/END】