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□4.嫌ってくれるまで諦めないよ?
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放課後、日直のため30分ほど教室を出るのが遅くなってしまった。


一十木くん待ってるかな?


私は急いで靴箱に向かう。


「ははっ」

「ひどいですよね!」


靴箱では男女の笑い合う声

その二つの声はどちらとも聞いたことがあるものだった。


「一十木くん笑いすぎ!」


「だってさ!」







そう一十木くんと昨日の少女だったのだ。


血液が逆流したような感覚におちいる。

息が上手く吸えない。

私がした靴に履き替えて靴箱からでようとした瞬間、


カツン


携帯のストラップが落ちたのだ。

二人がパッとこちらに振り向く。

急いでストラップを拾い上げると私は走り出した。



「七海っ!」


一十木くんの声。


私はその声をかき消すように首を振ってもっと走るスピードをあげる。



「待って!待ってよ!」


やっぱり神様は意地悪だ。


男女の体格の差もあり、あっという間に彼に追いつかれる。


『っ!』

彼に手首をつかまれた。


「つかまえた。」


嬉しそうにはにかむ彼。

どれだけ腕を振りほどこうとしても振り払えない。

だんだんと視界がぼやけてくる。

こんな姿彼には見せたくない。




『離、してっ』


やだ、声が震えちゃってる。








 
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