真斗/レン
□夜空にまたたく星(るな)
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side/R
「どうしたんだい?」
再度問うてみる。
答えが聞きたいというわけではないのだが、彼女の中の悩みが、こんな一言と包み込む腕で少しでも軽くなればいいと願うから。
「…な、んで、こんな…こと…するんですか…」
ず、と鼻をすする音。
再び涙声で紡がれる声。
きっとまた、泣いているのだろうと思う。
「…さぁ、なんでだろう…」
自分が聞きたかった。
今まで女性は平等に扱うものだと思っていた。
例えばひとりと会話をしているならば、両腕で二人の女性を抱き、他の女性には笑顔を向けるように心がけていて。
こんな風に泣いている一人の女性がいたならば、頭を撫で、優しい言葉をかける。
決して深入りはしない。
それが普通だったはずなのに。
(…参ったな…)
頭を撫でるはずの手は背中にまわされている。しかも両方。
それに、気の利いた慰めの言葉も出てこない。
否、もう答えは分かっている。
きっとそれを認めたくないだけで。
例えばその涙は、星が自分の存在を主張するように輝いていた。
例えばその歌声は、道標になるに相応しい灯りを湛えていた。
そして、俺の腕の中で顔をあげ、目を真っ赤にはらして微笑んだ笑みは。
儚く消えてしまいそうな、星の灯り。