長編
□第三話
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「あ? 近藤さんがいない?」
「はい、さっきお部屋にお邪魔したんですけどいなくて……」
土方さんは私がそういうとはーっとため息をついた。
近藤さんと言うのは真選組の局長。つまりは私達の大将である人。
私も彼に憧れて真選組に入ったうちの一人。
「夜だしな。 どうせくだらねェ店にでも行ってんだろ」
土方さんは半ば呆れたように言った。
「どーせ 俺なんてケツ毛ボーボーだしさァ。 女にモテるわけないんだよ」
そのころ近藤は土方の予想したとおり店(スナックすまいる)にいた。
「そんなことないですよ。 男らしくて素敵じゃありませんか」
隣にいる女の人が言う。名はお妙と言うらしい。
近藤は彼女の言葉を聞くもまだ俯いていた。
そして近藤はしばらくしてお妙に
「じゃあきくけどさァ、もしお妙さんの彼氏がさァ、ケツが毛だるまだったらどーするよ?」
と問いた。
お妙は数秒考えるとゆっくり目を瞑り言った。
「ケツ毛ごと愛します」
近藤はあまりに衝撃的な返答に目を見開く。そして思った。
(菩薩……全ての不浄を包み込む。まるで菩薩だ)
と。