長編
□第二話
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「御用改めである! 神妙にしろ! テロリストども!」
土方さんは山崎さんの報告があった敵拠点のふすまを勢いよく蹴り飛ばした。
そこには私たちが追いかけていた攘夷志士達の姿があった。
もちろんあの桂小太郎もいる。
「しっ…真選組だァっ!」
「イカン! 逃げろォ!」
桂が指示を出すと志士達は一斉に逃げ出した。
「一人残らず討ちとれェェ!!」
土方さんも迅速に指示を出す。
私も奴らを捕らえるためにうごこうとした。
その時ふと違和感のある人たちが目にうつった。
一人はチャイナ服を来た明らかにまだ若いというか子供というかそんな子が見えて、もう一人は明らかに戦い慣れてないような眼鏡の男の子。
そして一番気になったのが木刀を差した銀髪の侍だった。
「攘夷志士にしては違和感たっぷりなんだけど……」
私はそう思い素早く銀髪の侍に近づいた。
しかし、目の横を見慣れた黒髪がさっと通り抜けた。
「オイ」
私の横をすごいスピードで通り抜けた土方さんは銀髪の侍に声をかける。
そして銀髪の侍が振り向いたと同時に刀を突いた。
「ぬを!!」
銀髪の侍はさっと下によけた。
わお。
あの土方さんの剣撃を避けるなんて。
まぐれとはいいがたい。
「土方さん! ここは私が」
そう言いかけた私を土方さんは左手で制した。
「逃げるこたァねーだろ。 せっかくの喧嘩だ、楽しもうや」
あー瞳孔がまたまた開いてく。これは私には止められないな。
ごめんなさい、銀髪の侍さん。
「オイオイおめーホントに役人か。 よく面接通ったな、瞳孔が開いてんぞ」
ナイスツッコミーっ!
敵ながら感心感心。
「人のこと言えた義理かてめー! 死んだ魚のよーな瞳ェしやがって」
「いいんだよ、いざという時はキラめくから。 ってか真選組に女の子っていたのー? 紹介してくれよ水臭いなー」
「初対面だろォが! てめーなめてんと今すぐしょっぴ「土方さん、危ないですぜ」」
ふと横から沖田さんの声が聞こえたと思ったらすごい音とともにバズーカ砲がこっちに飛んで来た。
「「「うおわァァァ!!」」」
私達は一斉に避けた。
「生きてやすか土方さん」
沖田さんがバズーカを抱えてこちらに歩いて来た。
「バカヤロー! おっ死ぬところだったぜ!」
「チッ、しくじったか」
「しくじったって何だ!! オイッ! こっち見ろオイッ!!」
「いたたたッ……」
私は避けた際壁にぶつけてしまった頭を抑え起き上がった。
「玲奈ちゃんもいたんですかィ。 そんなとこにいたら危ないでさァ。 ほらほらこっちに来てくだせェ」
「いや、完全に危ないことしたの沖田さんだよね。 バズーカ砲思いっきり飛んで来たんですけど」
「玲奈ちゃんがいるってわかってたら打ってなかったでさァ。 土方さん狙ってただけですぜィ」
「狙ったって言ったぞ、今はっきり狙ったって言ったぞコイツ」
私たちが争っている間にいなくなったのか、はたまた沖田さんの放ったバズーカ砲に伴う煙に紛れて行ったのか。
「逃げられましたね」
銀髪の侍は跡形もなく消えていた。