長編

□序章
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ひと気のない路地裏をタバコを吸いながら男は歩いていた。



「みーっけた」



その周りを刀を担いだ数人の男が囲む。



「お前が真選組『鬼の副長』こと土方十四郎か」


「だったらどうする」



そう言うと、土方と呼ばれた男はいったんタバコを口から離すと空に向かってふーっと大きく息を吐いた。



「だったら……」



刀を担いだ男達はその刃を正面へと突き出した。



「斬るまでよォォォっ!!」



一斉に土方と呼ばれた男に斬りかかる。

そして先頭の男がいままさに斬りかかろうした瞬間ーー



ーーキンッ


刀がぶつかり合う音がした。



「なっ……!」



驚いた男の視界に入ってきたもの。

それは

自分の刀を抑える一人の少女の姿だった。



「お前……!何者だっ!?」


「御用改めである」



少女は刀を構え直し前を向いた。
その目はその辺にいるような町娘でもなく、
また茶屋で働いているような娘でもなく、




まぎれもなく侍の目だった。




「私は真選組副長補佐、神崎玲奈である!
神妙にしなさい!」



そう言うと神崎は先頭の男に近づいた。



「チッ!女のくせに調子乗りやがってっ!」



負けじと男も刀をふる。

しかしそれが空を斬ったと気付いた時にはもう遅かった。





「よっし完了!土方さん、無事ですか?」


「ああ、おかげでな。全員峰打ちとは、お前らしいな」


「ダメでしたか?」



土方と呼ばれた男は新しいタバコに火を付ける。



「いいや、上出来だ」



そう言いふっと笑うとまた空に向かってゆっくり息を吐いたのだった。




***
「って私少女じゃないんですけど!もう18なんですけど!」

「……まぁ、背も低いし、童○だしガキに見られても文句は言えねェだろ」

「伏せないでください!逆に傷つきますっ!」

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