鏡の国の王子様
□第一章:出会い ジース&ギニュー編
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ジェットボードに乗るジースは鼻歌を歌いながら、近道をしようと草原を抜けることにした。
「ふんふんふ〜ん♪っと!!!」
ふと現れた障害物に驚き、急ブレーキを掛ける。
ジースは、その勢いで前のめりに転がった。
「・・・・痛ってー・・・・」
打ち付けた腰をさすりながら起き上がる。
「・・・ったく!何なんだよ・・・・!」
イラつきで蹴飛ばしてやろうと、障害物に近付いた。
「・・・ん?何かどっかで見たことあるぞ・・・?」
障害物を覗き込む。
「あ!!!お、おい!!!料理長じゃん!!!」
なんと、ギニューが倒れていたのであった。
倒れているギニューを目の前に、おろおろするジース。
「えええ・・・・ど、どうしよう・・・と、とりあえず起こさなきゃな!」
思いっきり揺すりながら、ギニュー料理長ー!と何度も大声で叫び続ける。
しかし、一向に目を覚ます気配はない。
なかなか起きないギニューにだんだん疲れてきたジースは、
「なんで起きねぇんだよぅ・・・」
と、ため息交じりに呟く。
実力行使を止めたジースは腕を組み、ほんの少し考え込む。
と、急にポンッと手を叩き、「あ!そうか!」と叫んだ。
「眠いのかも!」
悩んだ末に辿り着いた結論に、ジースの顔は、いつもの明るい表情に戻っていた。
そして、起きるまでそのまま待つことにした。
ようやく気持ちが落ち着いたジースは、ふとあることに気付く。
「そういや、変だよな〜・・・俺、かなりのスピードでここまで来たんだぜ?城にいるはずのギニューさんが来られるわけないじゃん?そんでもって、服も変じゃね?肩パットイカツいしさぁ・・・」
ジースは、まじまじとギニューを観察し続けた。
と、ちょうどギニューの顔を覗き込んだ時だ。
「パチッ」
突然、ギニューの目蓋が開かれた。
「ん〜???」
ぶつかり合う目線にジースは、何が起きているのか一瞬分からなかった。
ギニューは、ゆっくりと体を起こした。
「わ!わああ!!」
びっくりしたジースは思わず叫んでしまい、反射的に後ずさりをした。
が、逃げる理由など無いことを思い出すと、ギニューに近づき、恐る恐る声を掛けた。
「あ、あのぉ〜・・・ギニューさん??な、何してんすか・・・?こんなところで・・・」