鏡の国の王子様
□プロローグ:ザーボン王子編
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「王子ーっ!起きろよ!朝だぜ!!」
その声に目を醒ました私。
目の前には真っ赤な顔。
ジースだ。
大雑把に見えて何気に毎朝起こしてくれる。
「ひでぇ顔!!!」
私の顔をじっと見るなり、大声で叫ぶと『あーっはっはっは!』と大声で笑い出した。
(なんなんだ?朝っぱらから…)
「ジース…お前なぁ…こんな美男子に向かって何を申す…の……だ?」
ジースは文句を言っている私に手鏡を向ける。
「ほら、ひでぇ顔だろ?…くっくっく…あーっはっはっは!!!」
鏡に映る私の美しい顔は…『×』や『○』が墨で書かれて……ん?
ちょっ…!
「お、おいっ!これは誰が書いたんだ!これはっ!」
「ああ、それ?それはグルドなんじゃね?お前に日頃こき使われてるからさぁ〜!悔しくて書いたんだろ?『化け物』って!!!」
そういうとジースは、引き続きヒーヒー腹を抱えて笑っていた。
…おのれ、グルドめっ!
悔しさと醜さで怒りに包まれる私を余所にジースは、
「ほら、お寝坊さん!早く飯食おうぜ!!」
と、急かす。
…全く。洗顔くらいさせろ…まあ…仕方ない…このまま行くか…
ため息混じりに、ジースに背中を押されながら食事の間へ向かった。