鏡の国の王子様

□プロローグ:ザーボン王子編
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私は自室へ戻り、シャワーを終え、出掛ける支度を始めた。

開けっ放しの自室の扉の向こうの廊下を、小走りで去るジースが見えた。

「ジース?どこへ行くのだ?」

扉から顔を覗かせ声を掛けてみる。

振り返ったジースは、

「ギニュー料理長から買い物頼まれたんだよね!んじゃ、行ってくるわ!」

そう言ってジースは走り去った。

「さてと。私も出掛けるかな」

支度を終えた私は外出する事を側近にも告げず、こっそりと駐車場へ向かった。

この駐車場には、私とセバスチャンしか知らない『隠し駐車場』がある。

以前、セバスチャンに造ってもらったのだ。

『隠し駐車場』は、リモコン操作で下から出てくる。

そこに停めてある『こっそり』用のブラックのジェットカーに、私は乗り込む。

そしてまたリモコン操作で、駐車場をジェットカーごと下に戻す。

私は地下へと潜ったジェットカーを、城から離れた地上への出口に向かって走らせた。


数分後、地上に出たジェットカーを走らせていると、私を呼ぶ声がした。

「おーい王子ーっ!」

スピードを緩め、ふと横を見ると、少し離れたところからジェットボード(ジェット式スケボー)に乗ったジースが手を振っていた。

「王子お出掛けー?気をつけてなー!!」

そう叫ぶジースに私は手を振り返し、街へ向かってスピードを上げた。



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