鏡の国の王子様
□プロローグ:ザーボン王子編
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この時間だと、顔を見られるのはヤツらだけだからいいか…
私はそう考えながら、ジースと一緒に食事の間へ辿り着いた。
部屋に入るなりジースは、
「おーい!『化け物』王子のお出ましだぞ〜!」
と、ばかデカい声で叫んだ後、何にわぬ顔でさっさと席に着く。
ジースのまさかの発言に、一瞬固まる私。
リクームとバータは入り口で呆然と佇む私の顔を見た瞬間、口にしていた朝食をたちまち噴き出した。
案の定、私はバカにされた笑いに包まれたのだ…。
不貞腐れ、無言のまま席に着いた私。
側近までも、くくっ…と笑いを堪えながら、私に濡れタオルを差し出した。
悔しいので、ひったくって受け取り、美肌を保つ事さえ忘れて夢中でゴシゴシと汚れを落とす。
そして、彼らを睨み付けて言った。
「お前たち!笑っただろう!今日は念入りに庭園を綺麗にしろ!!よいな!?」
私はリクームを指差し、
「リクーム!お前は池の掃除だ!うっかり苔を生やしただろう?そして、バータ!バラの棘を取っておけ!まだ半分も取っておらぬぞ?グルド!お前は…って、おい、グルドは?」
部屋の中を見回したが…いない。グルドめ、先読みしたな…