鏡の国の王子様
□プロローグ:特戦隊編
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普段は静かな部屋で、突如賑やかな茶会が始まった。
ザーボンは五人に、用意してあった菓子を出した。
菓子を乗せた皿をテーブルに置いた途端、彼らは我先にと手を伸ばした。
「ん〜、うめぇな!これ!」
相変わらずの騒がしさに、ザーボンはまた溜め息を吐いた。
(もう少し静かに出来んのか…?)
品のない食べ方をしている彼らを見ていると、食欲が減退する。
何度めかの溜め息を吐きながら、ザーボンは紅茶を啜った。
「…ん?」
ザーボンはティーカップをテーブルの上に置くと、鏡を見た。
一瞬だが光ったように見えたからだ。
窓の外に目を向ける。
今日は曇り空。
どうやら太陽の光が反射したわけではなさそうだ。
もう一度、鏡を見る。
とても大きな鏡で、その手前にテーブルが配置されている。
ザーボンは、鏡を正面にする形で座っていた。
彼の専用席だ。
いつでも自分の姿を見ていたいらしい。
(ジースが掃除をしたせいか…)
しばらく待っていたが、何の変化もない。
気のせいかと改めて紅茶を啜ろうと、カップを口に運んだ。