\mewl mewl/

□1にゃん
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「あ?」


ある雨の日、ふと通りかかった神社の境内に
ボロボロに濡れたダンボールが捨ててあった
箱には“貰ってください”の文字が滲んでいる

俺の家では飼えない、1匹で手一杯だからな

だが銀時は何故か放っておけなくて箱を覗き込む
捨てられていたのは大人の猫1匹だった
元々の毛の色は白なんだろうが雨やなんかで汚れてる


「生きてるか?」


丸まったまま起きないその猫に声をかける
猫は衰弱してるのか力なく鳴くだけだった

腹も減ってるしこの雨で体力も奪われてしまったんだろう
俺は昔のことを思い出した、墓地で野垂れ死にそうになって
ババアの持ってきた饅頭で生き延びたんだっけな・・・

そんなことを思ってると俺はその猫を抱き上げていた
着物で包んで足早に万事屋に戻った


「おーい、新八風呂沸かせ」
「あ、おかえりなさい。濡れたんですか?」


リビングから顔を出し玄関で俺を見る
俺は懐からさっきの猫を出す、まだ息はしてるな


「え、その猫・・・」
「ミルク、人肌に温めてやってくれ」


弱々しく鳴く猫を見て新八も素早く風呂を沸かし
キッチンに行ってミルクを温める


「わ!銀ちゃん、猫拾ってきたアルカ?」


猫を連れてきて定春の反応が心配だったが
警戒するわけでもなく大人しかった


「銀ちゃん、死にかけてるアル!」
「騒ぐな、チワワ」


新八が温めたミルクを持ってやって来る


「大丈夫ですかね?病院に行ったほうが・・・」
「これじゃ飲めないネ、哺乳瓶がいるアル」
「あ?哺乳瓶なんかねぇぞ・・・」


身体が動かないのかミルクをなかなか飲まない猫


「お登勢さんのとこにならあるかも!」
「おぉ!こうゆう時のババアだ!呼んでこい」


すぐやって来たお登勢の手には小さな哺乳瓶
それにミルクを入れて飲ませてやるとすんなり飲んでくれた


「可愛いアルなー」


目を細め美味しそうに飲む姿に一同が静まり返る


「また厄介者拾ってきて・・・
そんな事してないで早く家賃払いな
その子早く風呂、入れてやるんだよ」


一段落してお登勢が帰っていった
俺はミルクを飲み終えた猫をお風呂に入れるため服を脱ぐ


「よし、ほら洗ってやるからこっち来い」


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