あまい日常。
□あまい日。 完結
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「サスケく〜ん!
はい、あげる!」
アカデミーの授業が終わるや否や、たくさんの女子がサスケの周りを取り囲む。
「ちょっとどきなさいよ!」
「サスケくんにあげるのはこの私よ!」
「あんたこそどきなさいよ!」
サスケの周りで繰り広げられる女子の壮絶な戦い。
そう、今日は一年に一度、好きな相手に自分の想いと共にチョコレートを渡す日、バレンタインデーなのである。
そして今日がまだバレンタインデーだということに気付いていないサスケは、自分の周りで繰り広げられる不毛な争いにイライラしていた。
「お前ら、うざいよ」
サスケの冷たく放った一言に、その場の空気が凍りつく。
そして女子たちはチョコレートをその場に置き去りにしてすごい勢いで去って行った。
「はぁ…一体なんだっていうんだ…」
サスケは、そこら中に置き去りにされた綺麗にラッピングされた物をこのまま放置する訳にもいかずどうしたものかと拾い集めていると。
「サスケくん、はい、あげる!」
先程と同じセリフを言われ、げんなりして振り返った。
「サクラ…?」
そこにはサクラが照れたように笑い、ピンク色の箱を差し出して立っていた。
お前もか…と箱とサクラを見比べていると、二人の元へナルトが飛んできて騒ぎ出した。
「え、サスケってばサクラちゃんに何貰ったんだってば!?」
するとサクラはバカねーとナルトに話しだした。
「今日はバレンタインデーよ。
こんな日に私がサスケくんに渡すものなんて、チョコレートに決まってるじゃない」
あぁ、今日はバレンタインデーだったのか、とサスケはやっと状況を理解した。
「ばれんたいんでぇ?
それってなんだってば?」
ナルトは初めて聞く言葉に興味を示した。
「バレンタインデーは、女の子が好きな男の子に好きって気持ちを込めてチョコレートをあげる日よ。」
「へぇ〜!そんな日があるんだってば!
で、サクラちゃん、俺には!?」
ニッと笑って手を差し出すナルトをサクラはゴツンと殴った。
「私があんたにあげる訳ないじゃない!
それよりナルトはカカシさんにあげなさい?
好きなんでしょ?」