あまい日常。
□二人のカタチ。 完結
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ナルトとカカシが一緒に暮らし始めて早数年。
ついに明日はナルトのアカデミー入学式。
「お前ももうそんな年頃になったんだねぇ」
目を細め、感慨深げにナルトを見つめるカカシ。
「ちょ…カカシ兄ちゃん///
そんなに見つめられたら照れるってば」
頬をほんのり桃色に染めてナルトが視線を逸らす。
「いやね、色々思い出してね。
ナルトと出会ってから、色んな事があったじゃない。
なんかこうなるともう、父親の気分だよ」
「父親より…コイビトがいいってばよ」
先ほどよりもさらに頬を染めて、少し潤んだ瞳を不安そうに揺らしながらナルトが見つめてくる。
カカシはナルトと目が合うと、一瞬息をのんだ。
「ハハハ、恋人、ね」
そのままカカシに視線を逸らされ、微妙な空気が流れそうになるのをすぐに察知したナルトは、
「なーんてね。
ジョーダンだってばよ!
それより俺ってば明日からアカデミーだし、気合い入れて寝るってば!」
と、すぐに話題を切り替えた。
困ったように眉根を下げて笑うカカシに、ナルトはいつも通りおやすみのキスを要求する。
「ん―――」
ちゅ…と軽く唇が触れるだけのキス。
「おやすみー、カカシにーいちゃん」
「おやすみね、ナルト―――」
ナルトが寝室に入っていく後ろ姿を、カカシは唇を指でなぞりながら見送った。
“父親”より“恋人”にして、か―――
こんな風にキスだけして、ナルトがそれ以上進もうとすると今みたいにはぐらかすようなやりとりがここのところ何度かあった。
俺がきちんとしないから、ナルトを不安にさせてるかもなぁ。
それでも…
今恋人になっても、これからアカデミーでもしナルトに出逢いがあって、その女の子を好きになって俺から離れて行ってしまうのがどうしても怖いんだよ、ナルト。
それならいっそもうずっとこのままの関係で―――
なんて、初めて恋人の話をした時から何も変わってないな。
それでもカカシはどうしてもあと一歩が踏み出せずにいる。
2012.01.23 END