あまい日常。
□やきもち。 完結
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カカシがナルトと暮らすようになって早数ヶ月。
最近はナルトにも友達が出来て日中は外で遊ばせておけるようになったので、カカシは昼間の任務にも少しずつ復帰し始めた。
今日もこれから任務。
カカシはナルトを公園に送る。
「じゃあナルト、行ってくるね」
「ん、行ってらっしゃいってばぁ」
ナルトはすでに公園で待っていたサイとの遊びに興味が向いており、声を掛けるカカシに生返事をした。
ちょっと前までは行かないでーって目にいっぱいの涙をためて引き留められてたのに…寂しいなぁ、と父親のような心境をしみじみ感じながらカカシは集合場所に向かった。
「ところでナルト、本で読んだんだけどね―――」
そう言ってサイが話しだしたのは、恋人の倦怠期のハナシ。
「ふーん。
サイってば本好きなのかぁ?」
ケンタイキ、とよくわからない話よりも、ナルトはサイがよく本を読んでいるらしいことが気になった。
「あ、カカシさんがよく本読んでるから、それを見習ってね」
ナルトの大好きなカカシさんだし――といったサイの言葉は完全にスルーされた。
ズキン、とナルトの小さな胸が痛んだ。
サイってば、カカシの兄ちゃんの事が好きなのか?
そういえば前にカカシの読んでいる本の内容を教えてもらおうとしたら、お前にはまだ早いよ、と言われたことを思い出す。
一体兄ちゃんはどんな本読んでるんだ?
それからカカシが迎えに来るまでの間、ナルトはそんなことばかりを考えていた。
物事を考える事が少し苦手なナルトは、カカシが迎えに来る頃にはすでに頭がパンクしそうな程になっていた。
「ナールト、サイくん、戻ったよ〜」
そろそろ日が暮れそうな頃、手をヒラヒラと振りながらやっとカカシが戻って来た。
「カカシの兄ちゃん!!
おかえりなさいってばぁ」
ナルトはカカシの姿を見つけると、走って行って思い切り抱きついた。
「ただいま、ナルト」
いつものように頭を撫でられ、このままカカシにしがみつきながら家まで帰るものだとばかり思っていたナルトは、その後サイに声を掛けられてそのままそちらへ向かって行ってしまうカカシに驚いた。
「そいえばカカシさんって、いつもどんな本読んでるんですか?」
「なぁにサイくん、気になるの?」
ズキン―――
いつもだったらそのまま俺を抱っこしてくれるのに。
前に本の話をした時にはまだ早いって言って教えてくれなかったのに。
ナルトは自分を蚊帳の外に盛り上がる二人からしょんぼりと離れた。