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□ささいなこと
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『(こっち向かんかなー)』
月に一度の委員会
保健委員なんてほんとはやりたくなかったけど
大好きな白石くんがいるからめんどくさい仕事も楽しみで仕方ない
『(今日もかっこええな…)』
そう思いながらぼんやりと彼の後ろ姿をじっと見ていると
ふいに彼が後ろを向いた
『(……っ!! 今、目が合った…?)』
1人で勝手にテンションあがって騒いでる(もちろん心の中で)うちに委員会は終わってしまった
『(また来月、か)』
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帰りは必ず テニスコートの近くを通る
もしかしたら会えるかも。なんて淡い期待を抱いて
『ま、まだ会ったことないけどね』
ふふ、なんて1人で笑いながら歩いていたら ドン、と誰かにぶつかってしまった
「おっと」
『きゃ、ごめんなさ…』
あーあ、最悪。と思って顔をあげると
『し、白石く…!?』
「すまんなあ、ぽにーさん 怪我ないか?」
今、私の名前呼ばれた!?
『……!?!!? 私のこと、知ってるの?』
「当たり前や、同じ委員会やないか」
ニコ、なんて音が付くくらいの笑顔で私の顔を見る
『あ、ありがとうございます!!それじゃあ失礼しますッ!!部活頑張って下さいッ!!』
今 私ものすごく頑張った。よく話せたな、ほんと
「おん、頑張るで!気を付けてなー」
『(私のこと、知っててくれた。どうしょう、どうしょう…///)』
あれだけ言ってダッシュで帰ったから変に思われたかも なんて思ったけど話せたことで今は頭がいっぱい
今日は幸せな1日だった
『きゃっほーーい!!!!』
ささいなこと(だけど私はそれだけで幸せです)