Novels.
□白。
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今僕は、最近付き合い始めた彼女と、彼女の家に居る。
そしてその彼女がさっきから、僕をじっと見つめてくる。
「な、何、かな……?」
僕は彼女のその真っ直ぐな瞳に、少し動揺している。
「何って?」
彼女は言う。
冷静で、尚且つハッキリとした口調で言葉を発する。
「その…あまり、そうやって見つめられるのは…
得意じゃないんだけど…」
僕は必死で目を逸らす。
端から見れば、目を逸らすと言うより目が泳いでいる様に見えるかもしれない。
「何で?」
と、彼女は大きな瞳を僕に向けたまま言う。
ああ……僕はどうしたらいいんだ…
内心、こんなに可愛くスタイルも良くて、周りからも圧倒的な人気を誇る子が僕の彼女だなんて、今でも夢を見ているのかと思う。
僕はこんな完璧な彼女とは真逆の人間。
何処にでも居るような平凡でツマラナイ男子高校生。
そんな普通中の普通の僕と完璧な彼女との、付き合うまでの経緯を話したいところだけど、今まさにその彼女が僕に迫ってきていてそれどころではない。