死神達に逢いたいっ!!

□闇と光とまた闇
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月の光が照らす部屋の中で小さな少女が居た


「♪〜六月の嘘 目の前の本当 セピアにしまいこみ
寄り添うとか 温もりとか わからなくなってた

「君はひとりで平気だから…ね」と 押し付けてさようなら

その類の気休めなら 聞き飽きた筈なのに

鳴り止まない 容赦ない思いでたちは 許してくれそうにもない

目を閉じれば 勢いは増すばかりで 遠巻きで君が笑う


雨はいつか止むのでしょうか ずいぶん長い間が冷たい
雨はどうして僕を選ぶの 逃げ場のない僕を選ぶの


やっと見つけた 新しい朝は 月日が邪魔をする
向かう先は「次」じゃなくて「過」ばっかり追いかけた

慰めから きっかけをくれた君と 恨めしく怖がりな僕

そろそろかな 手探り 疲れた歩を葛藤がこぼれ落ちる

過去を知りたがらない瞳 洗い流してくれる指
優しい歩幅で 癒す傷跡 届きそうで届かない距離

雨はいつか止むのでしょうか ずいぶん長い間が冷たい
雨はどうして僕を選ぶの 包まれていいかな


雨は止む事を知らずに 今日も降り続くけれど
そっと差し出した傘の中で 温もりに寄り添いながら」



「いつまでそこに居るの?」



少女が歌を歌い終わった後すぐドアが開いた




夜斗「おっすちい姫!久しぶりだなあ〜♪」


秋「ちい様、少し遅れました」



二人の男子が入ってきた。
ちいと呼ばれた少女はゆっくり振り返りにっこり笑った



「良く来てくれたね、秋と夜斗。立ち話も疲れるでしょう?中に入りなさい」



秋「お邪魔します。」
夜斗「おじゃましま〜す♪」




秋は綺麗にくつを揃えたが夜斗は脱ぎっぱなしだった

それを秋は何も言わずに直した




「くすっ」



ちいが笑ったのに気付いた夜斗は頭に?マークを付けた


秋「ちい様、どうかしましたか?」



秋もちいが何故笑ったのか分からなかったのか頭に?マークを付けながらちい質問した



「いえ、貴方達と逢わずもうすぐ6年になろうとしていましたが、貴方達が余りにも変わってなかったから良かったって言うか嬉しいなって。」



ちいが懐かしそうに微笑むと秋と夜斗は顔を合わせた



秋「それは、ちい様が我々を仲直りさせてくれたお陰です」


夜斗「うんうん!なんか懐かしいなぁ〜!あの時はちい姫が居なかったら俺秋に殺されてたし〜」



と言いながら苦笑いする夜斗に秋があれがお前が悪いと言って小さな口喧嘩が始まった





「まあまあ、二人共口喧嘩はそこまでよ。」



ちいが言うとすぐに収まった
和やかな空気がちいの表情で一気に気まずくなった


「明日、山本様の所に行ってきます。」



秋と夜斗は「 山本様 」とちいの口から出た時に少し反応したが口を挟まず静かに話を聞いた





「一ヶ月後に、澪番隊が復活する事になりました。メンバーは私、秋、夜斗の三人だけです」



夜斗「え‥‥勇介さんと楓は‥?」



秋「!夜斗っ!」





「 勇介 」と「 楓 」言う名前が出た瞬間ちいは顔を俯かせてしまった。
それにいち早く気付いた秋は夜斗の名前を呼んだ




夜斗「あっ‥ちい姫‥‥‥すいません!」


「‥‥大丈夫、ですから‥‥」




夜斗「ですが‥!」



夜斗は本気で心配したようだったがちいは弱く微笑むと大丈夫と繰り返した




秋「‥‥‥‥ちい様、話はそれだけでしょうか?」





「‥いいえ。明日から澪番隊が復活するまで貴方達は他の隊の手伝いをして貰います」







秋/夜斗「‥‥‥はっ?‥‥‥」





秋と夜斗は予想外だったのか間抜け顔をしながらちいを見た




「あら?聞こえなかったのかしら、貴方達は明日から澪番隊が復活するまで他の隊の手伝いをして貰いますって言ったの」



にっこと笑い秋と夜斗を見て最初から言うちい



秋「いや、それは分かっていますが‥何故その様な‥‥?」




「指令が出たのか、ですか?」





夜斗「‥‥あぁ‥」




ふぅーと溜め息を着いてからちいは二人に背中を向けて喋り出した







「私が御願いしたのです。貴方達の為にも、と思いまして‥‥少しのくらい自由になれた方が貴方達も気が楽になるでしょうし」



秋「ちい様、我々はっ!?」


秋が言いかけた時、ちいが振り返った


秋と夜斗はびっくりし喋るのを止めた。

その訳は、滅多に泣かないちいが泣いていたからだ





「"あの日"‥"あの時"が無ければっ!私が"此処"に来なければっ‥‥貴方達は自由だった!死神になる事も無く!平和で平凡で争いのない世界でのんびりと幸せを掴めていたかも、しれないのに‥‥‥ごめんなさいっ。私が、貴方達の事を選ばなければ、幸せだったのかもしれないのにっ‥‥ごめんなさいごめんなさいっ!」




ごめんなさいと泣きながら繰り返すちい

秋と夜斗はそっとちいを抱き締めた




秋「ちい様、どうかその様なお考え方はお止め下さい。ちい様は私達をを必要とし、大切に想って下された。それに私達は幸せに御座いますよ?此処に来なければ「出逢えなかった仲間」も居ます。ちい様が私に心と言うものを教えて下さらなかったらきっと、私は死刑にされていました。」




夜斗「お、俺も!ちい姫を恨んだり憎んだりしてないぜ?俺、此処に来て幸せだったなぁって思った事いっぱいあるし!それにちい姫が俺達を選んでくれてなかったら大切な仲間にも会えなかったんだし?感謝する事は沢山なんだ!!だから泣くなよなぁ〜ちい姫に泣かれると俺も泣きたくなってくる〜」



と言いながら泣き出す夜斗に秋とちいは呆れた顔をした






「秋‥夜斗‥有り難うっ!だけど、何で夜斗が泣いてるの?何処か痛いの?」





と心配するちいを見て二人は顔を合わせ苦笑いしながら溜め息を着いた




秋/夜斗「(鈍感な所は変わってない)」






ちい一人頭に?マークをつけていた





「あっ、そろそろ鬼娘が帰ってくる頃だわ。秋も夜斗ももう遅いからお帰りなさい」






秋「そうですね、でわ失礼します。夜斗帰るぞ」





夜斗「はーい♪ちい姫またね!」






「えぇ、夜斗。明日は寝坊しないようにね?秋も夜斗を御願いね?何処の隊を手伝うのかは明日、朝一に山本さんの所に行って聞いて頂戴ね」





秋「わかりました」


夜斗「ちい姫も風邪引かないようにな!」






そう言って二人は帰って行った



静まり返った部屋に居るのはちい一人だけ



「(鬼娘が帰ってくるなんて、ベタな嘘つかなければ良かったわね。秋、夜斗ごめんなさい)」




そう心の中で呟きながら月を見上げた







―‥ 秋/夜斗 side ‥―



ちいの家を出て無言のままの二人

先に口を開いたのは夜斗だった




夜斗「あぁ〜、ちい姫の泣き顔久しぶりに見たね?」


秋「あぁ」



夜斗「にしても‥‥ちい姫、何であんなベタな嘘ついたんだろう?」



秋「‥‥‥‥‥一人になりたかったんだろう」




そう冷たく言う秋に苦笑いする夜斗


夜斗「相変わらず冷たい奴だなぁ〜。ちい姫にはあんな優しいのになっ!」


秋「‥ちい様は、まだ「勇介殿」を想い続けている。「楓殿」を探している。我々が口を出して良いような事ではない、"アレ"はあの二人の問題だ‥‥‥‥‥‥」



夜斗「なんか、寂しいって言うか哀しいね。こんなに近くに居るのに見てるだけなんてさぁ〜」




秋「‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥。」






それから二人は家に着くまで無言のままだった










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