短編

□甘い日常
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受け溺愛会計×会長

会長…火喃カナン
会計…安曇アズミ




四月の始め。
入学式や新入生歓迎会を控え、生徒会長である火喃は生徒会室でカリカリとペンを走らせていた。

「かーいちょ、カナちゃーん」
へらへらと笑いその背にくっついてちょっかいを出しているのは会計の安曇である。

火喃は安曇を気にする素振りもなく目の前の書類に没頭していたが、安曇からのちょっかいが性的な意図を含み出してから初めて安曇を睨みつけた。

「アズ、お前邪魔だ」
いつの間にかシャツを第三ボタンまで開けられ、しかもその中に手を突っ込まれているという状況。
プライベートルームならまだしも他生徒会役員もいる生徒会室だ。

静止を促すようにべしべしとその手を叩くと安曇は渋々といった体で服の中から手を抜いた。だがその際に安曇の指が火喃の乳首にひっかかり少しだけ声が出てしまい、火喃は顔を真っ赤にした。

そんな火喃の反応に安曇はクスクスと笑い、火喃の頬に擦り寄る。

「カナちゃんイイ声。顔も真っ赤だよ」
「…うっせ、バーカ」
ぷい、と火喃は擦り寄ってくる安曇の頬からから逃れるようにそっぽを向くと、安曇はそれを追うようにして火喃の頬に口づけた。

朱に染まった頬は熱を持ち、基礎体温の低い安曇の唇に心地好い熱さを与える。また火喃も何度も啄むようにキスを送ってくる安曇にどこかくすぐったい気持ちになっていた。


「ん、アズ…」
こそばゆい感覚に火喃が身じろぐと安曇は火喃を抱く腕に力を込める。
そしてそのまま火喃の耳にそっと唇を寄せた。

「ね、カナちゃん。もう今日の仕事終わったんだしこれからは俺の相手してくれるでしょ…?」

情欲に掠れた甘く低い声で囁かれて火喃はふるりと睫毛を震わせた。

そんな火喃の愛らしい反応に安曇は微笑むと自身より10cmは高いその長身を抱き上げて、生徒会室に隣接する仮眠室へと足を運ばせる。


「ふふっ、カナちゃん可愛い…」

「…可愛くなんかねーよ、馬鹿アズ」

安曇は腕の中で小さくなる火喃にちゅっちゅとキスを送りながら、仮眠室へと姿を消す。
その際に生徒会室に残された他役員に「声が聴こえちゃったらごめんね〜」なんてふざけた言葉を言い残して。


残された生徒会役員たちは各々制服のポケットから取り出した耳栓を装着し、再び自分の仕事に取り掛かる。

隣室から漏れる甘い喘ぎは役員たちの耳に届くことはなく、今日も今日とて生徒会は平和であった。


―――――
…きっと副会長たちは「リア充爆発しろ」って心境だと思う。
けどやっぱり仲間が幸せなのは嬉しいなって心境だろう。

非王道好きだが仲良しな生徒会も好物です。

2012.4.1 朱翠拝

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