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□玉を愛でし悪魔
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和人に恋人が出来て、僕はほっとしたんだよ?

和人は気付いていなかったけど、僕は和人が少しずつ会長に惹かれているんだって、話を聞いているだけで、遠目から眺めるだけでわかった。

恋愛不感症な和人の初めての恋。

それを邪魔したのは愚かで傲慢で浅はかな子供。


僕らの大切な和人を傷つけた報いを受けて貰おうか―――…











僕の目の前にはぐすぐすと泣く子供。

こいつが和人の恋を邪魔した奴。
僕は顔が引き攣りそうになるのを必死に堪えた。

そして微笑みを浮かべて話し掛ける。

「そんなに泣いてどうしたの?可愛い顔が台なしだよ」

「ふぇ、だれ…?」


気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い

上目遣いなんてしないでよ。
君みたいな子に上目遣いされても嬉しくないから。

むしろ縋るような目に殺意を覚えるよ。


でも僕は優しいから少しだけ夢を見せてあげる。
“愛されている”という夢をね。


「僕は威杜。君は転入生の叶くんだよね」

「う、うぇ…、うわあああんっ!!」

笑顔を向けて転入生の名前を呼ぶと転入生は僕に抱き着いてきた。

ああ汚いなぁ。
でも我慢しなくちゃ。よし、後で和人に頭撫でてもらおう。そうしよう。


「み、皆俺のこと最低って、いらないって…っ、うぇ、」

当たり前だよ。
和人の敵は皆の敵。

まあ、和人は敵だとは思ってないだろうけどね。


「可哀相に、そんなに泣いたら目が腫れちゃうよ。泣き止んで、ね?」

そう甘い声で告げる。

和人にはよく天使みたいだと言われる声だけど紡ぐ言の葉は人を堕落させる悪魔の囁きそのもの。


まあ、堕落させる程の人格ある人間じゃないからね、この転入生は。元々破綻した性格の持ち主だし。

僕はそんな蔑みの感情を表には出さず、微笑みながら告げる。



「ねえ叶くん、僕と“トモダチ”になろうよ」
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