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□玉を愛でし悪魔
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「威杜ーっ!!早く食堂行こうぜっ!!」

そう言って僕の手を引く転入生。




あれから一月。
転入生は面白い程僕に懐いた。いや、依存と言ってもいいかもしれない。

…よし、今日で終わりにしよう。もう十分だよね。




僕たちが食堂に入ると生徒たちが静まり返る。
しょうがないか、転入生は嫌われてるし僕は和人や風紀以外には恐れられてるからね。

「今日はデミグラオムライス食おーっと。威杜は何食うんだっ!?」

僕が食べるのは君の絶望だよ、なんてね。

「うーん、僕はとろろそばにするよ」

にっこり笑うと転入生は赤面する。あはは、滑稽だね。






「威杜」



その時甘いテノールが僕の名前を呼んだ。
僕の大切な人の声。


「和人っっ!!」

僕は満面の笑みを浮かべて和人に抱き着く。


「和人どうしたの?何か用?」

「お前、何企んでるんだ…?」

何ってそりゃあねぇ…。
あ、でも和人に言ったら怒られそうだ。
うーん、怒られたくないなぁ…。


そんなことを考えていたら転入生がガタッと立ち上がった。



「な、何で威杜そんな奴にくっついてんだよっっ!!」

叫ぶ転入生。
うっわウザイ。和人をそんな奴呼ばわりなんて身の程知らずにもほどがあるよね。


「ふーきいーんちょーさーん」

「何だ」

「今日は昼休み委員会あるんだよね?」

「いや、ない「あるんだよね?」…ああ、風紀委員は今から風紀室に集合だ」

近くにいた風紀委員長をちょっとだけ威圧すると呆れながらも風紀委員長は僕の意を汲んでくれた。
頭のいい人はだーい好き。和人はもっと好きだけど。







「何でっ!?何で威杜は俺のだろっ!?あんな奴に触んなっ、あんな奴と関わるなっ!!威杜は俺のだっっ!!俺以外見るなっ!!」

和人たちがいなくなった食堂に転入生の声が響く。



「叶くん、僕は君のじゃないよ?僕は僕のもの」

「違う、威杜は俺のなんだ。俺だけの威杜なんだ」

予想以上の依存っぷり。
周りの生徒の視線なんて総スルーだね。



「ねえ叶くん、僕はね」

君のことなんて大嫌いだよ





絶望に満ちた顔。


「嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ

うああああああっっ!!」





ああ、



コワレテ



シマ
















錯乱し発狂する転入生をおいて食堂を後にする。

あーあ、転入生も呆気なかったな。
あんな奴が和人の恋を邪魔したなんて。

まあいいや。
あとは僕の恋人が転入生を“片付けて”くれるだろうから任せよう。

精神病院行きは決定だけどね。



さて、それじゃあ和人の元へ行きますかね。




きっとこのことを知られたら怒られるけど後悔はしてないよ。

だって僕らの玉を傷付けた愚か者が悪いんだもの。




玉を愛でし悪魔

(鎮魂歌は)

(悪魔が紡ぐ)



―――――
これにて完結。

威杜は彼氏持ちです。
でも和人>>>越えられない壁>>>彼氏くらいの比率。
だけど彼氏も和人を可愛がってるので嫉妬とかはないのです。
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