小さな物語2

□理想って何だっけ
1ページ/2ページ



最初は、気配りのできるいい女だった。

好きになって、努力して、告白されて、付き合いだして。


彼が褒めてくれるのが、本当に本当にうれしくて、小さな努力を積み重ねてきた。



そんな彼の「理想の彼女」に疲れ始めたのは、一体いつからなのだろう。



「前はもっと気の利いた子だったのにね」



彼の視線が私を突き刺していく。


それは努力していたからよ。
あなたに褒められたくて。

思っていてふと気づく。


私、愛されたくて、じゃないんだ。



「俺、結構お前のこと好きだったからさ、今泣きそうだけど」
お前は表情すら変えないんだね。


彼の言葉に驚き、渇いている頬に触れる。


泣いて、泣いてよ。
悲しいじゃない。寂しいじゃない。

ねえ、何で出ないの。


ひとつため息をついてから背を向け去っていく彼。
その後姿を見つめる一方で、心の奥底ではどこかすっきりしている私がいた。




最後は、最低な女で終わった。


理想って何だっけ

(相手に無意識に求めてしまうもの?)
(少なくとも私にはただの枷でしかなかった。)
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ