小さな物語2
□甘味処
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とある和洋菓子店であんみつを食べながら、私の隣に座る少年を眺めた。
彼の名前は財前光。
四天宝寺中の二年生。
善哉が大好きで、今も幸せそうな顔でのんびりと甘さを堪能している。
四天宝寺中に通っていない私が彼と出会ったのは何故か。
時は数週間前にまでさかのぼる。
いつものように行きつけのここであんみつを食べていた。
農耕な甘さを堪能していると、隣の椅子がごとり、と音を立てた。
「隣、ええか?」
私好みの低音イケメンボイスが鼓膜を震わせたのである。
それ以来、ずっと私の隣に来るようになった彼。
私が先に来て、彼が後から座るかたち。
時々、彼のために席を取っておいてあげることも。
私好みの声を持ち、なんと顔も好みという素晴らしい彼。
性格も見た目以上に優しくて、
話を聞いてくれるし、ほんの少しだけれども、ふわりと、笑ってくれる。
惹かれるには十分すぎる人だった。