小さな物語
□この恋に水をください
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ガーデニングが趣味の俺はよく屋上庭園に脚を運ぶ。
世話をする人が居ないからっていうのもあるけど、花は好きだから。
今日もいつものように屋上へ向かった。
扉を開けた瞬間目に飛び込んできたのは、
花壇の前でしゃがみこむ一人の少女。
よくよく見てみればその人は俺が恋い慕う一つ上の先輩で。
馬鹿みたいに顔が熱くなった。
震える手でじょうろに水を入れ、花壇に近づく。
「君が世話してるの?」
「えっと、はい」
「そっか。いつもありがとう。この子たちには元気をもらってるから」
じゃあね、と俺に笑顔を向けて去っていった。
「名前、聞けばよかった・・・・・・」
この恋に水をください
(水というなの勇気があれば)
(この恋は成長できるだろう?)