小さな物語
□今日も変わらず君を目で追う
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俺の席から少し離れている斜め前の席の彼女。
白いチョークで埋め尽くされた黒板を必死でノートに写しよった。
いつも控えめに笑う子やった。
目立つようなことはせえへんけど、クラスのためになることは積極的にする子。
一度も話したことなんてあらへんのに
こんなにも彼女が気になるようになったんはいつやったろうか。
はっきりとは思い出せへんけど、着実に成長していったこの想いは抱えきれないほど。
言いたい、でも怖い。
自分らしくないと叱っても
体は言うことを聞かんくて。
ああ、もどかしい。
今日も変わらず君を目で追う
(少年は気付かない)
(少女の心を占めている男が誰なのかを)