小さな物語
□私と彼の立ち位置
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あ、あの人の足音だ。
前方から聞こえてくる足音に
そっと耳を澄ませる。
これはベルフェゴール様の足音だ。
軽快なブーツの音にすら気品を感じさせる彼は、ここ、独立暗殺部隊の幹部である。
王族の血が流れているらしく、あまりにも整った顔立ちをしている。
行動にも気品があふれ、また、とても強い。
そのためか、私は彼に所詮一目惚れというものをしてしまった。
向こう側から聞こえてくる足音に胸を高鳴らせながら冷静を装い歩を進める。
聞こえてくる足音は二つ。どうやらフラン様も一緒のようだ。
うらやましい。
私も隣を歩いてみたいなと考えていたらやっとお姿が見えた。
「お疲れ様でございます。ベルフェゴール様。フラン様」
・・・・・・なんて距離を感じる口調だろう。何で私は隊員なんだろう。
無性に虚しくなる。
あの人と対等な位置に立てない自分が情けない。