長いお話
□奪いたい
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ふわりと笑ったあいつに心を奪われたあの日。
奪われたら奪い返さないと気がすまない俺は、自分も彼女から奪ってしまおうと、日々健闘していた。
「綺麗な髪だなぁ。お前のその整った顔によく似合うぞぉ」
「お前は華奢だから俺が守ってやる」
「俺といてくれねぇか?」
「声を聞かせてくれぇ。お前は俺の癒しだ」
「・・・・・・愛している」
数々の言葉を送る。
返してくれることは少ないが、言えただけで俺は十分だった。
さあ、惹かれてくれ。
目的を果たさないと落ち着かない。
奪いたい
(俺が惹かれて一ヶ月)
(あいつに告白された)
(気づかぬ間に奪っていたようだ)