長いお話
□初めての秘密
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あの日からベルの顔が見れなくなってしまった。
昔みたいにベルの家に遊びに行くこともできなくなって。
こういうときばかり
彼の周りに集まる少女たちが気になって仕方が無い。
私には恋愛の経験が少ないから、
彼女たちみたいなテクニックなんてもちろん無いし、話しかける勇気なんて出やしない。
恋するってこんなに寂しいことだったなんて、知らなかった。
会いたいのに、会いたくない。
触れたいのに、触れたくない。
傍に居たいのに、寄ることすらできない。
相反する気持ちが私の中を駆け巡っている。
テラスに出て、一人頭を冷やしに行った。
紅茶を飲み、眼下に広がる景色に
彼との思い出を重ねて、思いを馳せて。
「最近こないと思ったら、こんなとこでひとりでいた」
振り返れば
少し息が切れているベルが、真後ろに立っていた。