長いお話
□大切なただの幼なじみ
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広い邸内
飛び交う笑い声
10歳にも満たない子供にはとてもつまらない空間。
今夜は、隣の国との親睦パーティだった。
思ってもいない世辞と作り物の笑顔。
王子であることは嫌じゃないが、
こういうのは苦手だ。
ジルは第1王子だからか嫌な顔せずに付き合っている。
女の香水のにおいに酔ったので
俺は外へと逃げ出した。
冷たい風が頬をかすめる。
そうだ。今日は雪が降るんじゃないか。
さすがにこんな軽装では風邪を引いてしまう。
あんなところに戻るのは癪だが、仕方ない。
少し風にあたってから戻ろうとすると
背後で車の音がした。
「ベルー!!遊びに来たよー!!」
「こら、遊びに来たのではありませんよ。社交に来たのです。お行儀よくなさい」
「そーそー。お行儀よくしろよ、お姫サマ」
「なっ!ベルに言われたくない!!」