短編
□日本を見据える仏頂面:穂謙
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「で?今日は奈良なんだね・・・」
「せやでえ!!穂走見たことなさそうやったしな」
「別に見なくてもいいだろう・・・」
「まあまあそう言わずに見てみいや、ホンマでっかいから!!」
「高さ14.7mなのだから当然だろう」
「ホンマ、コメントが一々堅いなあ・・」
日曜日に再び廃屋を訪れた謙也は穂走に車を出させて奈良東大寺に来た
「ひゃー、久しぶりに来たけどやっぱいつみてもでかいわあ」
「そりゃ当然だろ、来るたびに大きさが変わるはずがない」
「せ・・せやけどなあ・・・・」
「それよりもこの鹿は何とかできないのか?」
「ホンマ・・めっちゃ好かれとるやん・・・」
穂走の周囲には多数の鹿がまとわりつく
「あ、ちょっと待っとってや!!」
「お・・おいっ!!」
謙也は何かを思いついたのか、穂走の傍を離れた
が
すぐに戻ってきた
「なんだそれは」
「鹿煎餅に決まっとるやん!!名物やで!!」
そう言ってたった今買ってきた鹿煎餅を手に取ると謙也の周りに今まで穂走にまとわりついていた鹿が寄ってくる
「ちょっ・・待てや!!お前にもやるから!!ひゃあっ・・・くすぐったいわ!!やめえっ!!」
楽しそうに鹿と戯れる姿を見て穂走が呟いた
「あれがもうすぐ死ぬ奴の姿なのか・・・・?!・・・・なぜあんなに笑えるんだ?!」
*
「」