短編

□愛を知らない:穂謙
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「ねえ・・・・・前みたいにさ

穂走さん連れ出してよ」







突然裏路地に連れて行かれて何を言われるかと思えば予想外の言葉




「は?・・・・・・それ・・・・・こないだお前らがやめろっちゅうたんちゃうんか」




「んー、でもさ

なんか穂走さん  君に会いたがってたからさ」




「穂走が・・・・・?」



「うん、ターゲット君が面白いからじゃない?
良かったじゃん、気に入ってもらえて」




「っ・・・・・・・・・・」



「まあ、あん人もお忙しい人やから
いつでもおるとは限らへん


せやけど まあ気ぃ向いたら連れ出してええで」






天馬の横にいたテツも乗り気でそういった





「・・・・・・わからん・・・・・」



それに対して謙也は疑問を抱いた







「何が?」






「それでお前らに何のメリットがあるん?」





「メリット?
ありまくりだよ」




天馬は笑った






「ターゲット君追い出した日あるじゃん?
あれからもう一度考え直したんだけどさ


俺らってちゃんとした生き方してないからさ世間ていうものがよくわかってないんだよね

穂走さんは大学まで行ったらしいけど

でもなんというかそういうことに対してあまり関心がなかったというか




けど殺されるはずの身分であるターゲット君がこんなに穂走さんを連れ出すものだからさ

いろいろと興味を持ったんじゃない?」






「で?それやったら答えにならへん」




「せやから、知る っちゅうことは知識が増えるっちゅうことやろー?

やったらこれからのゲームをおもろくしていく材料になるんちゃうか?っちゅうこっちゃ」





「ゲームを面白くする材料・・・・やと?」




「せや、俺らにとって大きなメリットや」



「俺がアイツを連れ出して世界を見せようとしていることが・・・・・・ゲームを面白くする・・・材料・・・・・




やったら俺はアイツを連れ出さん」



「え?!」






「俺がそうしたことによってこれからのゲームでさらに残酷な運命になってまう人が出てくるんやったら俺は連れ出さんっっちゅうとんねん


俺はゲームを止めたい

穂走を助けたい


せやけど俺が死んだらまたゲームは続く



それやったら・・・・・」








「まあまあ、そない言わんとさ」



「嫌や」



「俺らかてこれは賭けや」



「賭け・・・・やと?」


「穂走さんが謙也クンに連れ出されて世界に興味を持ってきたんは事実や



もしかしたらお前が考えてることが叶う可能性もある

そして逆にゲームの材料になる可能性もある



まあ、可能性は半々やな」




「だから、穂走さんを君が連れ出すことによってゲームが続くか止まるか・・・・・ってことだよ」




「せやったら、このままおとなしくしとるよりええんちゃう?ゲーム止めたいんやろ?」




「っ・・・・・・・・・・・・・・」







「まあ、謙也クンが勝つか俺らが勝つかハッキリするやん」


「そうそう、だったら・・・・・・連れ出してくれるよね?ターゲット君」











謙也は黙り込んだ










ゲームが止まる可能性は半分


だが止まらなければ
謙也は死んでまた新たなターゲットが残酷な死をとげる





けどこのまま何もしなければ始まらない








だったら















「やる・・・・・・・わかった



その賭け乗るわ」





「じゃあそういうことで」


「決まりやな」





「絶対俺は穂走を助け出す!!!


こんなゲーム


止めてやる!!」






























この残酷なゲームは新たな賭けで再びスタートした






最後に待っているのは




勝利か



敗北か










それはまだ誰にもわからない






5話へ続く
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