短編
□愛を知らない:穂謙
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「誰か、好きになったんですか」
わざとらしく聞いてみたテツ
「さあ・・・・・・だってわからないから」
とぼけているようには見えない穂走の返答
「・・・・・・(この人・・・・ホンマにわかってへん・・・・・・)・・・・
まあ・・・・・・恋にもいろいろありますからねえ
一緒にいたいって思う恋もあれば
独占して他人には触れさせたくないって嫉妬心だらけの恋もありますし
さらに言えば殺したいくらいに好きってこともありますし」
「殺し・・・・・・たいほど・・・・・好き・・・・か・・・・」
「そうそう
この人が好き、だけど誰にも触れさせたくない
話させたくない
視界に入れさせたくない
そして自分以外思って欲しくない
そういう独占欲が限界を超えて
ならばいっそのこと自分の手で殺してしまえばいい
この手で愛する人の命をもぎ取ってしまえばもう誰も触れられない
それは永遠に・・・・」
「永遠・・・か・・・・・・」
「死んでまえば終わりですからねえ」
「ふうん・・・・・なるほどねえ・・・・」
「まあ、穂走さんが恋したっちゅうんなら応援しますから
ほな失礼します」
「ああ・・・・・・おやすみ・・・」
テツは扉の前で一礼すると部屋を出た
*