作品置場
□氷麗上げゲーム
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この春、リクオは中学を卒業し、高校へと進学した。
そして高校の入学式が始まる前に、リクオは京都の学校へと進学する事となったゆらを訪ねて、花開院家へと足を運んでいた。
「それにしても、高校にまで行くなんてなぁ。意外やわ。」
「ハハ・・・一応ボク、人間なんだけど。」
「ま、それもそうか。いっその事、そのまま人間のままでいたらいいんとちゃう?
奴良くん頭ええし、きっと上手くやれるで。」
にこっと笑いながらサラリととんでもない事を言ってきたゆらに、リクオは少しばかり驚いた。
あの後も兄に鍛え続けられた成果が、ついに実を結び始めたのではないのだろうかと思ってしまう。
その為少しの間黙ってしまったリクオの隣から、怒気のはらんだ高い声が鋭く響き渡った。
「何バカなこと言ってるの、陰陽師娘。
リクオ様は妖怪の生活も、人間の生活も大切にしているのよ。
どちらかなんて、選ぶわけ無いじゃない。」
「あんたに聞いとらへん。」
「ま、まぁまぁ。氷麗はボクの代わりに答えてくれただけだよ。」
「ほらみなさい。」
ふふん、と嬉しそうに見下してくる氷麗に、ゆらは歯軋りして悔しがり、矛先をリクオへと変えた。
「ちょっとリクオくん、『妖怪は入れたらアカンから、一緒に来ていいんは清十字団だけや』って言ったはずやけど!?
なのになんでこいつがおるん!」
「それはもちろんそっモガッ」
『側近頭として』と答えようとした氷麗の口を、リクオがサッと塞いだ。
何をするんですか?と目で訴える氷麗にクスリと笑うと、リクオはニッコリと笑いながらゆらに言った。
「何言ってんのさ、氷麗だって清十字団の一員だし、今は人間だよ?」
「いやいや、それおかしいやろ。化けてるだけやん。」
「それに氷麗と離れ離れになんてなれないよ。」
「はぁ?」
何を言っとるんや・・・いや、まぁ色々と噂を聞いとるけど、まさか奴良くんに限ってそんなアホな、とゆらは以前カナ達から聞いた信じ難いリクオの近況報告を思い出していた。
「だって、もう夫婦みたいなものだし。」
「モガッ!?モガガガガッ!」
顔を真っ赤にして全力で首を横に振る氷麗の口をガッシリと押さえたまま、リクオは変わらずニコニコと笑顔をゆらに向け続ける。
「なんやて〜〜〜〜!?やっぱ本当やったんか!?
て事は柿ピーか!?柿ピーしたって事か!?」
「前から思っていたんだけど、その『柿ピー』って何さ。」
「ええい!五月蠅いわこのエロりひょん!」
「うわ、酷いな〜。これでもボク、妖としては成人しているんだし、問題ないでしょ?」
「だからって堂々と言うな〜〜〜!」
バシャッ
「「!?」」