※アンケリク作品


・書生多摩川×篤志家の娘凌輝の身分差恋愛
お互い好きなのに想いを伝えられず
政略結婚させられることになり結婚前夜、募りに募った想いが暴発





『せめてその涙枯れるまで』




俺の名は多摩川カイ。

とある理由で篤志家の娘の家にて下宿させて貰っている。



そして其の篤志家の娘こそ―――




「あ」
「!!」
「おはよう、多摩川さん!!」
「ッ///」


此の土地一番の資産家であり、俺が密かに想いを寄せている女性『前屋凌輝』だった。




「今日も早いんだね」
「…‥‥あぁ」


てくてくと並んで歩く。

俺の足並みは恐らく常人よりもかなり早い。



何故なら



「…何か俺の顔に付いてる??」
「う///」

気が付けばこうして彼女の顔を盗み見してしまうから。


だから、其れに気付かれたくない一心で俺は自然と歩幅を大きくして一足先に下宿先へと戻ろうとしたのだが。




「ま、待って!!多摩川さん早いよっ///」
「‥‥…」
「ねぇったら、聞こえてないの??置いて行かないで…きゃっ///」
「!!!!!」


後方でドスン、という物凄い音が聞こえてきたので。


ハッとして振り返れば其処には



「いっ、たぁああ///」

転んで足を擦り剥いた彼女の姿があったので。




「…‥はぁ」

相変わらずドジで運動神経の鈍い彼女を憎らしくも愛しく思った俺はくるりと踵(きびす)を返してやった。


そして彼女の元へと歩み寄ると



「大丈夫ですか??」
「!!」

と、しゃがんでは声を掛け、擦り剥いた膝に目を落としてやったのだ。



そうすれば、ちょっと恥ずかしそうに笑って



「うん、平気。ありがとう///」

なんてはにかんだ彼女はやはり愛らしくて。



「そうですか、なら‥良かった///」


不覚にもドキッとさせられた俺はなるべく目を合わせない様目線を外し、ポケットに入れてあったハンカチを取り出して



「コレで我慢して下さい」
「あ」


僅かに血を流す彼女の其処にシュルッと巻き付けてやったのだ。


すると



「…‥‥ごめん、ハンカチ汚れちゃったね」

真っ白な其れがじわりと赤く滲んだ光景を見て彼女は少し申し訳無さそうにそんな事を言い出したのだ。



全く、落ち込むくらいならもう少し注意力をだな‥‥


なんて心の中で文句を垂れながらも、しかし彼女のそういう謙虚で控えめな所が堪らなく愛しかった俺は



「構いませんよ。其れより大した怪我じゃなくて本当に良かった」
「ッ///」

しょんぼりと落ち込む彼女の頭をぽんぽんと撫でてやったのだ。



まるで実の妹を扱うかのように。


だが、子ども扱いされるのを極端に嫌った彼女は



「もう!!だからいつも言ってるでしょ??子ども扱いしないでって―――」

なんてぷんぷんと怒りながら、またいつものお決まりの文句を口にしようとしたので。





「ほら、行きますよ」
「っ、きゃあ?!」


俺はごねる前に有無を言わさず彼女を抱き上げ、下宿先まで運んでやったのだ。



「ちょ、ちょっと多摩川さんっ///お、下ろしてよぅ」
「ダメです。貴方は怪我をしてるんだ、歩かせる訳にはいきません」
「だから大丈夫だってば!!歩けるから下ろして!!ねぇ、ホントにお願いだから〜〜〜っ///」


其の間にもやれ恥ずかしいだの、やれ子ども扱いするななど散々文句を言われたが。



其れでも、惚れた女の肌に触れられる役得感に俺は僅かに頬を緩めて意地でも離してやらなかったのだ。



本当は、こんなにも愛しているのに。


こんなにも彼女を離したくないと思っているのに。




それなのに言えなかった。


身分の差を考えるとどうしても俺は彼女に不釣合いで。



例え告白しても上手く行かないと最初から諦めていたからだ。



だから、気付く事が出来なかった。



彼女の婚約が正式に決まるまで、自分の想いがどれだけ激しくてどれだけ深いモノだったのかを―――











其れはある日の事だった。



「…‥‥お嬢様??」
「‥‥………」


元々身体の弱い彼女は余り外に出る事が無かった。


だが其の日に限って珍しく、裏庭の隅で小さく縮こまっている姿を発見した俺が静かに歩み寄っても



「どうしました、具合でも悪いんですか??」
「……ほっといて」


いつもならニコニコと嬉しそうに返事をする癖に

何故かツンと済まして目を合わせようとしなかったから。



不思議に思った俺は、落ち込む彼女の隣に立って



「そういう訳にも行かないでしょう。体を冷やすと良くないから、せめてコレを―――」
「!!」


自分の上着をふわりと彼女の肩に掛けてやったのだ。


そうすれば



「止めて…‥」
「え??」
「好きでもないのに、愛しても居ないくせに優しくなんてしないでよっ///」
「!!!!!」


突然彼女が声を荒げそんな事を言い出したので。



「…‥‥お嬢様??」


俺は訳が分からずただぽかんとした様子で彼女を見詰める事しか出来なくなってしまった。



だが、其の一言がきっかけだったのか。

タガが外れた彼女はホロホロと綺麗な涙を流してこんな事を言い出したんだ。




「どうせ俺が結婚したって多摩川さんは何とも思わないんでしょ??」
「もう二度と逢う事も‥こんな風に一緒に過ごせる事ももう無いのに!!」
「其れなのに‥悲しいって思うのが俺だけなんてあんまりにも惨め過ぎるからッ」


だからもう構わないで。と


彼女はえっぐえっぐと涙を流しながら喉を痞(つか)えさせ、そう言ったんだ。




其の瞬間、俺の中で何かが弾けた。




「…‥結婚、するんですか??」

震える声でそう聞けば


「そうだよ!!相手は‥でっかい病院の院長の一人息子なんだってさ」

ぐすぐすと、泣き止む気配を全く見せない彼女が涙混じりに答えてくれた。



しかし

信じ難い其の事実が、彼女のそんな一言でようやく現実味を増して



「ッ、クソ///」
「?!」


俺は其処で初めて自覚する事が出来たんだ。



本当は諦めた振りをしていたのだと。

本当は、誰にも彼女を渡したくないのだと。



其れが分かったからこそ




「凌輝様!!」
「あっ///」


俺は本能のまま、彼女を強く抱き締め

やっと言えなかった一言を彼女に告げる事が出来たのだ。




「愛してる―――」
「ッ///」


と。


だが


「うそ‥‥///」

余程衝撃的だったのか、彼女は直ぐに信じようとしなかった。


それどころか


「…其れ、同情のつもり??」
「なっ?!」
「俺が好きでも無い相手と結婚させられそうだから‥多摩川とお別れしたくなくて泣いちゃったから可哀想とでも思った‥‥??」


なんて、見当違いの事を言い出すから。



やれやれ、素直じゃない人だ。

と心の中で溜息を吐きながらも俺は再度言ってやったんだ。




「いいえ、違います」
「っ!!」
「ずっと言えなかった。でも俺は‥貴方を心から愛しているんです。此処に下宿した其の日から、ずっと」



と。


そんな俺の正直な気持ちが伝わったのか



「ッ///」

カァッと瞬時に彼女の顔が赤らんだので。



俺はもう我慢出来ずに彼女の手を無理矢理取ると、ズンズン屋敷に向かって歩き出してやったのだ。


しかし、驚いた彼女が慌てて



「待って、何処に行くの??」

と、かなり焦った声色でそう言ったから。



俺はしれっとした様子で言ってやったんだ。




「貴方を俺のモノにします。貴方の部屋で、ね」
「〜〜〜っ///」


其のあからさまな俺のセリフに、初心な彼女はまた更に顔を赤らめてくれたけれど。


決して繋いだ手を離そうとはしなかったんだ。

だから疑わなかった。



彼女も俺を愛してくれているのだと。


なのに、運命は何処まで残酷だった―――








「凌輝‥」
「あっ///」


ギシ、と二人分の重みでベッドが軋んでは揺れた。


其れに構わず怯える凌輝の手を取って



「怖かったら言ってくれ。出来うる限り‥優しくするから」

美しい、染み一つ無い手の甲にチュッとキスを落としてやれば



「やっ///」

ぶるっと、くすぐったそうに身を捩る凌輝がとても愛しかった。



「さぁ、俺にお前の全部を見せてくれ‥」
「ッ///」

そして服の上からでも分かる程豊満な其の胸に手を滑らせ


着物の帯を片手でしゅるっと解いてやれば



「こんなの‥は、恥ずかしいよぉ…///」

深緑色の瞳をうるっと潤ませ凌輝がもじもじと足を摺り寄せるから。



そんな恥らう彼女の姿をこの上なく綺麗だな。と感動すら覚えた俺は



「なら、俺の事も脱がせてくれ…‥」

と、安心させる様に彼女の背中を優しく擦り、ついでに柔らかな其の手を取り自分の胸元に導いてやったのだ。



そうすれば



「わ、わかった///」


頬を朱に染めた彼女が実にたどたどしい手付きで俺の着物を脱がしに掛かったので。


何処までも初々しくて可愛らしい彼女の様子に満足した俺は、互いの着物を脱がせ単衣も纏わぬ姿になるまで彼女の身体にキスし続けるのだった―――





「ふぁ、あんっ///」

ぱさり、と最後の一枚が床下に落ちる。


其れと同時に赤い薔薇が幾重にも散った凌輝の白い肌が目に映り



「綺麗な肌だな」
「んんっ///」

陶器の様に白く滑らかな彼女の肌をそっと撫でてやった俺は、こんもりと盛り上がった山の上に咲く小さな果実にキスをしてやった。



ちゅうっと。


すると


「ひぁっ?!」

赤く充血した果実を吸われた凌輝の甘い喘ぎが耳を掠め。


其れに煽られた俺の下半身は容易く勃起し一気に血流が其処に溜まっていくのが自分でも酷くリアルに分かった。


だからこそ



「触ってくれ」
「!!!!!」


もう支えが要らない程張り詰めた其れを無理矢理凌輝に握らせれば



「あ、な‥なにこれ?!」


男性性器を握るのが勿論初めてだった彼女は酷く困惑した様子で俺をマジマジ見詰めて来たのだ。


しかし、口で説明するより実地で教えた方が早いと思ったので



「いいから、適当に触ってくれ」
「で‥でもっ///」
「こんな風に、な」
「んあぁあっ?!」


前歯でぷくっと膨らんだ胸の突起をそのまま軽くカリッと噛んでやり。

更に舌先でレロレロと舐めてやれば




「あぅ、はぁああんんっ///やっ、多摩川、さんっ!!」

なんて、切なくも甘い喘ぎを惜しみなく零してくれるから。


凌輝の手の中に居る俺の雄根もドクドクと激しく脈を打ち、まるで彼女を欲しがるようにドロリと先走りを滲ませてしまったんだ。



だから堪らず



「さぁ、手を動かして‥俺のモノも善くしてくれ―――」
「んあっ///」

と、わざとらしく甘く耳元で囁いてやれば



「はぁ、はぁ‥んんんっ///」


もう何も考えられないのか

トロンとした瞳を雄根に向けた凌輝は、無心な様子で握りこんだ雄根を其の手でしゅ、しゅと擦り始めたのだ。


其の手の感触が思った以上に柔らかくて気持ち良かったので



「っ、う///」


鈍い射精感に襲われた俺は、しかし負けるモノかと奮起して彼女の大きな素胸に齧(かじ)り付いてやったのだ。


かぷりと。


そうすれば、ビクッと震えた凌輝が


「あぁんっ///」

なんて可愛く喘ぎ。


加えてまだつるつるで一度も使われた事の無い陰部に手を添えてやれば



「あっ?!」

と、少し戸惑った様子で大きく目を見開き



「だめっ、其処は―――」

等と言って慌てて手で隠そうとするが。




「ダメだ」
「んひぃいいいっ///」

俺はトロトロと蜜を零す陰部の入り口をくちゅくちゅと指で掻(か)いてやったのだ。


更に


「こっちも気持ち良いだろう??」
「ッ?!は、はひぃいいいいっ!!」


ぷくりと存在を誇張するように勃起した陰核を指の腹で執拗にクリクリと押し潰したり捏ねたりしてやれば



「あぁあああっ!!な、なにこれぇっ///きもちいいよぉおぉおおおっ!!」


まるで発狂せんばかりに凌輝が喘ぎ暴れてみせるから。



「フッ、そんなに感じられると最後まで持たないかもしれんぞ??」

陰核だけでイキそうな、凌輝の実に淫らで厭らしい姿に俺も危うく射精寸前まで追い込まれてしまった。



だから



「…‥そろそろいいか」
「え‥‥…??」


一発目は中出しと決めていたので。


俺は彼女の両足首を掴んでは持ち上げ



「な、なにするのっ?!」
「決まっているだろう。挿れるのさ」
「!!!!!」


赤ん坊のおしめを変える様な格好をさせ、むき出しになった彼女の陰部にぴたりと亀頭を押し付けてやったのだ。


其処でようやく何が起ころうとしているのか悟った凌輝は



「いやっ!!無理、そんなの入らないッ///」

と泣いて暴れてみせるのだが。



「やってみれば分かるさ」
「はぐぅううぅううっ///」


ズン、という音と共に。


凌輝の宝石に似た美しい瞳が大きく見開かれた。


そして


「ほらな、入っただろう??」
「あぅ、あう…ぬい、て‥こわれ、ちゃうっ///」

ずっぽりと雌穴に嵌った俺の逸物を、ギュウッと締め付けて離さない癖に凌輝がそんな弱音を吐いたから




「これからが本番だ。最後まで‥付き合って貰うからな!!」
「んあぁああぁあっ///」


俺は構わず腰を前後に激しく振ってやったのだ。


パンパンと。

其の肉と肉がぶつかり合う生々しい音が室内に響く中




「はぁあんんっ!!いやっ、多摩川‥さんっ!!もぉ許してよぉ///あぁん、すごいのぉっ」


涙を流しながら凌輝が必死にシーツを掴んでそう言ったので



「…‥で、くれ」
「え??あ‥な、なにっ??」
「カイ。と‥呼んでくれッ」
「ッ///」


俺はどさくさに紛れてそう言ってやったのだ。



すると



「は、ぁっ///カ、カイッ!!カイ、愛してるぅっ///」
「!!!!!」


ようやく、俺が欲しかった言葉を彼女が吐いてくれたので。



「凌輝!!俺もお前を、愛してるっ///」
「はぁんんんっ」


俺はめちゃくちゃに腰を動かしながら彼女の柔らかい内部を存分に犯し尽くしてやったのだ。


ぐちょぐちょぬちゅぬちゅぬちょぬちょっ



「あっ、ああぁ‥んあっ!!は、カイッ!!カイィイイイッ///」
「りょう、きッ///出す、ぞ」
「あぁん、だしてぇっ!!いっぱい、いっぱい中に出してぇえぇえっ///」



そうして俺と凌輝は、まるで獣の様に愛し合ったんだ。


そう、一人の男と一人の女として。

狂った様に、何度も。何度も―――










其れから何時間経っただろうか。



「…‥ねぇ、カイ」
「何だ??凌輝」
「約束して。死ぬまでずっと、俺の事‥愛してくれるって」


突然何を言い出すかと思ったら


はぁはぁと乱れた呼吸を整える様に横になっていた凌輝は同じく横になっていた俺を熱心な眼差しで見詰めて来た。


なので



「あぁ、勿論だ」

と答えてやれば



「本当に、約束だからね??」

などと言って彼女は甘える様に俺の腕にすりすりと擦り寄ってみせたのだ。


そんな姿も可愛らしくて。



俺は、此の先どうやったら彼女と一緒になる事を認めて貰えるのだろうか。と


そんな事ばかりを考えて居たのだが。




「…眠いの??」
「そうかも、しれないな」
「うん、じゃあお休みなさい」


やがて睡魔に襲われ、そのまま深い眠りに落ちてしまうのだった。




「…さようなら、カイ」

チュッ、と俺の頬にキスした凌輝の声さえ聞かずに―――













次の日。



「…‥‥凌輝??」


ベッドはもぬけの殻だった。


其れに嫌な予感を覚えた俺が身支度を整え、慌てて部屋から飛び出れば




「遅かったですね」
「!!!!!」
「お嬢様は今しがた、本堂家の元に嫁がれに行かれましたよ」
「何だと?!」


此の屋敷の古株であり、執事長であった八ヶ岳が呆れた様にフッと笑ったので。




「貴様‥俺に其れを伝える為だけに其処で待機していたのかっ!!」

と、激怒してやれば



「えぇ、お嬢様に頼まれたのでね」

ニコリと、実に人の良さそうな笑みを浮かべた彼は俺の怒りなど然して気にもせず




「コレがお嬢様からの預かり物です」

と言って、一枚の手紙を寄越して来たんだ。




其れを呆然とした様子で俺は暫く見詰めて居たのだが




「現実を見なさい」
「!!」
「お嬢様はもう居ない。恨むなら‥こんな時代に生まれた自分の不運を恨む事ですね」

などとしみじみ呟き、彼は俺の手を取ると無理矢理其の手紙を握らせたのだ。




其の瞬間、俺は初めて涙を流した。






「どうして―――」



愛しているのに

身分が違う。


たった其れだけの事でどうして引き離されなくてはならないのかが分からなくて。



俺のもっと身分が高ければ

俺がもっと早くに告白していれば




「こんな事には、ならなかったのかもしれないのに!!」


遣る瀬無い想いと諦めきれない未練だけが胸を支配し、気が付けばそう叫んで居たんだ。




だが、其の場から静かに立ち去ろうと歩き始めた八ヶ岳だけは




「…世の中には、どうにもならない事も時には存在するのですよ」

と呟き、姿を消すのだった。




それはまるで


其の場で泣き崩れ、涙が枯れ果てるまで泣いた俺への言葉というよりも


まるで想う処のある様な、独り言にも等しかった―――

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